1996 Fiscal Year Annual Research Report
電磁力による振動現象を利用した渦電流探傷法の実験的および解析的検討
Project/Area Number |
08750284
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉浦 壽彦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (70265932)
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Keywords | 渦電流 / 弾性振動 / 超音波 / EMAT / 欠陥診断 / 非破壊検査 / 有限要素解析 / 電磁力 |
Research Abstract |
本研究では,非破壊検査への応用が期待される電磁超音波探触子(EMAT)による超音波の発生および伝播特性の基礎的な解析を行った. EMATの現象の過程は順に,コイルへの交流電流の通電,磁場変動による試料導体表層部での渦電流の誘起,渦電流と磁場との相互作用による電磁力の発生,電磁力による振動の発生,試料内における超音波の伝播となる.検出過程はこの逆である. この現象を記述する基礎方程式は,渦電流に対するMaxwell方程式と,電磁力を外力とする弾性体の運動方程式から成る.まず1次元問題について,電磁場および超音波による変形を解析的に求めた.表皮効果のため全電磁力が表面に集中するとして求めた波動の解析解より,コイル電流と同振動数及び2倍の振動数の2種類の進行波が発生すること,また試料の変形がコイル電流の波形に直接対応した定常的な変化を示すことなどを確認した. 次に,2次元問題について,磁気ベクトルポテンシャルを変数とした有限要素・環境要素併用法による電磁場解析および有限要素コードMARCによる弾性振動解析を行い,コイル近傍での磁力線や電磁力の分布,超音波による試料の変形などの結果を得た.これより,超音波が広がって伝播するため,伝播に伴い振動面が広く,振幅は小さくなること,つまり表面近傍での振動はコイル直下のみで大きく,表面から離れるに従い広い範囲での一様な振動となることを確認した. 以上のように,本研究では,1次元解析および2次元数値解析により,EMATによる電磁超音波の発生及び伝播性を明らかにした.この波形情報は,電磁超音波法の欠陥推定への適用に際し,有力な手掛りになると考えられる.今後は,EMAT検出情報から欠陥を推定する逆問題的なアプローチについて検討する予定である.また,本研究では,解析と並行してこれに対応する実験の実施を検討してきた.現在その準備を進めている.
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Research Products
(1 results)