1996 Fiscal Year Annual Research Report
新燐原料を用いた固体ソースMBE法により作成した燐系化合物半導体薄膜の評価
Project/Area Number |
08750376
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
サンドゥ- アダルシュ 東海大学, 工学部・電気工学科, 助教授 (80276774)
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Keywords | 燐系化合物半導体 / OEIC / MBE / 化合物半導体 / 分子線エピタキシ / InP / PL / ホール効果 |
Research Abstract |
現在燐系の化合物半導体は光通信の様々なデバイスの応用に重要です。この系のデバイスはガスソースMBE(GSMBE)及び有機金属熱分解法(MOCVD)により作成されており、5族原料はPH_3及びAsH_3が使われています。これらの方法は以下に掲げられる大きな欠点があります。(1)AsH_3とPH_3は両方とも非常に毒性が高い。そのため、人間および環境保護のため高価格の安全装置が必要である。(2)質の良い結晶を得る為にはこれらのガスを過剰に流さなければならず、その結果、原料は無駄になり、作成された薄膜の価格は高価となる。(3)MOCVDやGSMBEを用いて作成されたヘテロ界面での混合現象の為これにより、ヘテロ界面の原子レベルの制御が困難となる場合がある。以上のような理由でPH_3及びAsH3に代わる原料が望まれす。 一方、過去に通常の固体ソースMBEによる燐系化合物半導体作成の報告がありました。この場合は赤燐が燐原料として使われましたが、大きな欠点が三つありました:(1)赤燐の蒸気圧が非常に高く、燐のフラックスの制御が困難であった。(2)燐のフラックスは主にP4であるため、高温クッラカ-を利用してP2フラックスを形成する事が必要とされた。但し、P_4とP2への分解が100%以下であったために成長が終了した際、残存P4の存在のため、成長室の真空度は元に戻らず、装置の色々な部品が故障することがあった。(3)その上成長室を開けた場合、残存P_4のために火事の恐れがあった。以上のため、P_4を放出する燐原料は現実的に材料として適当ではありません。そこで、今回の研究はPH3や赤燐に代わる安定した安全で環境に悪影響を及ぼさない代替原料を求めることを目的とした基礎的研究です。 本研究では通常の純粋な赤燐の代りに多結晶GaPを新燐原料として使用しました。成長方法は以下の通りで行いました:(1)多結晶GaPをMBE成長室内の通常のKNUDSENセルに入れ、(2)特殊なクッラカ-を使わずにP_2のみのフラックスを作り、(3)加熱されている化合物半導体基板に5族の固体ヒ素のフラックスの分子線と3族のフラックスの分子線(例えばIn及びGa)と共に多結晶GaPからのP_2フッラクスの分子を照射する。以上の方法で望んでいる燐系化合物半導体薄膜(InP,InGaP)の成長を行いました。そして、これらの薄膜の不純物濃度及び光学的特性をホール効果測定、FTPLの方法を用いて評価を行いました。 以上の方法で作成したInP薄膜のホール効果測定の結果は、n型を示し、室温及び77Kでの電子濃度と移動度はそれぞれ、1.2x10^<15>cm^<-3>、4500cm^2/Vsと7.4x10^<14>cm^<-3>、74,000cm^2/Vs,でした。これらの電気的特性は他の方法で作成されたInPに比べて同等或いはより優れた結果を示しました。5KでのFTPLスペクトルから明らかなように、深い準位にとるの発光が弱い、バンド端励起発光が支配的なスペクトルであり、InP結晶が高純度であることの証拠です。
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Research Products
(1 results)