1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750412
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮嶋 照行 茨城大学, 工学部, 助手 (00261743)
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Keywords | カオス / セキュリティ通信 / ビット誤り率 / ガウス近似 / スペクトル拡散通信方式 / 符号分割多元接続通信方式 / 直交符号 |
Research Abstract |
本研究では,加法性のガウス雑音が存在する通信路において,同期が完全な,2値およびM-aryカオスディジタル通信方式の性能評価をビット誤り率により行なった. まず2値カオスディジタル通信方式について検討した.+1と-1の送信データに対しカオス時系列を複数サンプル乗算して送信し,相関検波により受信を行なう方式を検討した. 単一ユーザ通信の場合ビット誤り率を解析的に求める方法を検討した.相関器出力ガウス過程で近似する方法を検討し,計算機シミュレーションの結果に一致することが明らかになった.1ビットあたりに割り当てるカオスサンプル数が増えるにつれ,2値カオスディジタル通信方式のビット誤り率は,従来のPSK方式のビット誤り率に近付くことが明らかになった. さらに,同期符号分割多元接続(CDMA)通信方式と非同期CDMA通信方式について検討した.同一のカオスシステムで初期値を変えて発生したカオス時系列を各ユーザに割り当てる方式を検討した.単一ユーザの場合と同様の方法でビット誤り率を導出し,計算機シミュレーションの結果に一致することが明らかになった.さらに非同期CDMA通信方式の場合,従来のGold符号を用いる方式とビット誤り率特性がほぼ同じであることを明らかにした. 次に,M-aryカオスディジタル通信方式について検討した.同一のカオスシステムで,初期値の異なるM種類のカオス時系列を用意し,情報データによってこれらを切替えて送信し,相関器出力が最大のものを復調結果とする方式について検討した. 従来の直交符号によるM-ary通信方式と同様に,Mが大きくなるにつれて,ビット誤り率特性が向上することが計算機シミュレーションにより明らかになった.また,Mが大きくなるにつれて,カオスの直交性が良くなり,直交符号のビット誤り率に近付くことが明らかになった.
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[Publications] 中村一彦: "カオスディジタル通信方式の性能解析" 1996年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ大会講演論文集. A-40- (1996)
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[Publications] 中村一彦: "カオス拡散系列による通信方式の性能評価" 第1回ユニバーサル・パーソナル通信基礎研究会講演論文集. 163-169 (1996)
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[Publications] 中村一彦: "カオスを用いたCDMA通信方式のビット誤り率" 第4回電気学会東京支部茨城支所研究発表会講演予稿集. 155-156 (1996)
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[Publications] 中村一彦: "カオス拡散系列による非同期CDNA方式の誤り率" 電子情報通信学会技術研究報告(スペクトル拡散). (発表予定). (1997)