1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750502
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
篠田 裕之 東京農工大学, 工学部, 講師 (40226147)
|
Keywords | 触覚センサ / 三次元構造 / 弾性傾斜 / テンソルセル / インテリジェントセンサ / 音響共鳴型テンソルセル |
Research Abstract |
申請者は過去5年間の研究を通じて、触覚センサを構成する粘弾性体の3次元的な広がりを積極的に利用することによって多様な触覚特徴が非常に容易に取得可能となることを示してきた。 本研究ではその中で基本原理の提案がされている音響共鳴型テンソルセル(弾性体内部の空洞に生じる空気の音響的共鳴を利用してその周囲の応力テンソルを計測する手法)を前提とし、これを実用的な触覚エレメントへと発展させるための基礎的問題の検討をおこなった。さらにそれを3次元触覚センサとして効果的に機能させるために弾性傾斜材料(硬さが深さ方向に連続的に変化する弾性体)を利用することを提案し、その有用性について明らかにした。 1.音響共鳴型テンソルセル 本検出原理を用いた触覚エレメントを実現するための微小超音波送受信子の設計理論を確立し、1.5×3.5mmの微小振動子が共鳴空洞への細管内へ1Pa程度の音圧を発生し(駆動電圧は5V)、100kHz以上の帯域を有することを実験的に確認した。また音響共鳴周波数にロックして発振するアナログ、およびデジタル回路を試作し、3mm径の共鳴空洞を有する弾性体とで触覚エレメントを作製した。そのユニットは3msの時定数のもとで0.5%以内の周波数精度と0.05%以内の周波数安定度を有することが確認された。なお0.1%の周波数の誤差は3μmの変形に相当する。 2.弾性傾斜の解明と利用 理論的および数値的検討によって、表面での触覚刺激が内部に伝達していく特性が弾性傾斜によってどのように変化させるかを定量的に明らかにした。特に 1.弾性傾斜が応力テンソル行列の固有構造に与える影響、特に (1)表面接触広がり次元と応力テンソル行列のランクが対応する規則の保存について、および (2)多重解像度知覚特性、すなわち深さ方向へぼけてゆく特性 2.空間周波数軸でみたフィルタリング特性に対する影響 について検討したところ、表面から深さ方向へ硬さ(ヤング率)が増加していく弾性傾斜を用いると、弾性体の厚みが有限であっても半無限の広がりを有する弾性体と同様な理想的な伝達特性が実現し、触覚センサとしてより利用しやすい信号処理場を与えることが明らかになった。 弾性傾斜作製技術を確立については今後の課題に残された。
|
-
[Publications] 田中康治: "弾性傾斜を利用する触覚センシング" 第39回自動制御連合講演会論文集. 415-416 (1996)
-
[Publications] 王 欣雨: "歪みテンソルを検出する触覚センシング" 第39回自動制御連合講演会論文集. 413-414 (1996)
-
[Publications] H.Shinoda: "Aconstic Resonant Tensor Cell for Tactile Sensing" Proc.1997 IEEE Int.Conf.on Robctics & Automation. (4月に予定). (1997)
-
[Publications] 寺田夏樹: "多モード音響共鳴を用いたテンソルセル触覚センサ" 計測自動制御学会論文集. 33巻4号(掲載予定). (1997)
-
[Publications] H.Shinoda: "Tactile Sensing Using Acoustic Resonant Tensor Cell" Proc.14th Sensor Symposium. 105-108 (1996)
-
[Publications] 篠田裕之: "共鳴型テンソルセルによる三次元構造触覚センシング" 第5回ロボットセンサシンポジウム講演論文集. 197-202 (1996)