H∞制御のための最小モデル集合の同定とチューニングコントローラ

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08750530
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 山本 茂 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (70220465)
• Keywords: ロバスト制御 / H∞制御 / モデル集合 / システム同定 / 適応制御 / チューニング制御

Research Abstract

本研究課題は,モデル集合の同定と制御に関する基礎的研究である.本研究課題で明らかとなった内容は次の通りである.
1.H∞制御のための最小モデル集合の同定法
通常,H∞制御系設計は,状態空間モデルに基づいて行われる.入出力実験データから状態空間型モデル集合を同定する新しい手法を導出した.これにより,状態空間型モデル集合を伝達関数型モデル集合の実現として得ることなく直接同定することでき,よりタイトなモデル集合を得ることが可能となった.
2.モデル集合の検証法
モデル集合が既に与えられた場合,それが実際の制御対象を表現できているかどうかは重要な問題である.これを確かめる一つの方法は,検証実験を行うことである.与えられたモデル集合が新たな入出力実験データと矛盾することがないかを検証する一つの手法を導出し,矛盾する場合は,モデル集合を更新するアルゴリズムを導出した.
3.最小モデル集合を同定するチューニングコントローラ
H∞コントローラの自由度を利用し,制御対象のパラメータ変動を推定しながら,制御系の時間応答を改善するいくつかの方法を,最適制御や適応制御などに基づいて導出した.これらの方法のうち,いづれのものが優れているかはまだ結論が出ていない.しかし,これらの特徴は,推定機構がうまくはたらかなくとも制御系の安定性が必ず保証される点にある.また上述の1と2の結果に結び付けるところまでには至らなかった.

Research Products

• [Publications] 山本茂: "H∞コントローラによる二次安定化制御と時変ゲインによるチューニング" 計測自動制御学会論文集. 32・4. 486-494 (1996)
• [Publications] 山本茂: "二次安定化法を用いた三慣性系ベンチマーク問題の解法" 計測自動制御学会論文集. 32・7. 1027-1034 (1996)
• [Publications] 山本茂: "可調整パラメータを有するH∞状態フィードバックによる二次安定化" システム制御情報学会論文誌. 10・1. 11-17 (1997)
• [Publications] S.Yamamoto: "Quadratic Stabilization by H∞ controller with Time-Varying Tuner" Proceedings of the 1996 IFAC 13th Trienrial World Congress. 189-194 (1996)