1996 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックな視覚システムのための眼の反射運動に関する研究
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08750537
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
丸 典明 和歌山大学, システム工学部・光メカトロニクス学科, 講師 (60239150)
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Keywords | 前庭動眼反射 / ヘッドアイシステム / ジャイロセンサ / アクティブビジョン / ステレオ視 / ダイナミクス / キネマティクス / VOR |
Research Abstract |
人間の目は頭についており,頭は体の上に載っている.したがって,人間が歩いたり走ったり跳んだりしているときに,目は体の運動と頭の運動の両方の影響を受ける.もし目が頭の中で固定されていれば,網膜に映る像は非常に激しく乱れ,周囲の世界がどのような構造であるかを知ることは困難であろう.人間の頭の中には,頭部の回転角速度や加速度を検出する器官があり,頭部の運動を補償するように眼球を運動させるさまざまな反射運動があることが知られている.人間は,これらの反射運動により眼から得られる映像を安定化し,激しい運動中でも周囲の世界の状況と自分の運動を正しく認識したり,周囲の世界に対して正確に自分の体の運動を制御することができていると考えられる.以上のような背景により,我々は人間のようなダイナミックな視覚システムを構築するためには眼の反射運動が重要であると考え,本研究では特に頭部の回転運動を補償する前庭動眼反射(Vestibulo Ocular Reflex:VOR)に着目した.これまでの研究により,両眼により得られる対象物までの距離情報を用いてVORのゲインを可変にすることにより,頭部の回転運動による映像のぶれが激減することを見出し,試作したヘッドアイ装置を用いてその有効性を確認している.本研究では,人間のVORの周波数特性に匹敵する性能を実現することを目的とした.まず,高周波においてVORに遅れが生じることを解消するために,ジャイロセンサーとモーターのダイナミクスを補償する手法を開発した.これは,予めジャイロセンサ及びカメラを動作させるモータの周波数特性を求め,その帯域を1次の位相進み補償を施して広げることにより遅れを少なくした.さらに,低周波においてはジャイロセンサの性能の劣化を補償するために,視覚情報と融合する方法を開発した.開発した人間型視覚システムを用いた実験により,提案した手法の有効性を確認した.
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[Publications] N.MARU,K.MURATA,F.MIYAZAKI: "Compensatory eye movement in Active Stereo Vision System" Proceedings of the 4th Int'l Conf.on Control,Automation,Robotics and Vision. Vol.2. 1398-1402 (1996)