1996 Fiscal Year Annual Research Report
制御系設計を目的とした非線形システムのモデリングへのリアプノフ関数の概念の応用
Project/Area Number |
08750553
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
和田 光代 大阪府立大学, 工学部, 助手 (70201259)
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Keywords | 線形モデル集合同定法 / 非線形システム / モデリング / 動作点の変化 / システム同定 / リアプノフ関数 |
Research Abstract |
安定な非線形システムを対象とし,注目すべき動作点まわりの入出力データから,その動作点におけるシステムの数式モデルを同定する方法を提案した.すなわち,制御対象はその非線形性のため,入力レベルによって動作点(システムの平衡状態)は変化することから,まず定値入力をシステムに加えつづけ,システムの動作点を取得する.このとき,非線形システムは得られた各動作点に対応する平衡点における線形化モデルと非線形項の和という形で表すことができる.そこで,"リアプノフ関数"に相当する補助関数を導入し,状態の平衡状態からの偏差のノルムを変数とする単調な補助関数を用いて,本来は多次元の状態をもつシステムを,補助関数を状態とするシステムとして捉えた.すなわち,システムを補助関数についての差分方程式で記述し,線形部(線形化モデル)と高次項(非線形項)の和の形で表した.ただし,システムの非線形性のため,平衡点における線形化モデルも非線形項も正確には同定することはできない.そのため,各動作点近傍における入出力データから,線形部についてはその線形部を含む線形モデル集合(線形動的システムの集合)として同定し,非線形項は,適当な非線形関数を用いてその上界と下界を求める方法を提案した.このようにして得られるモデルは,もとのシステムの状態をそのまま用いて記述されるモデルよりも簡潔な表現であるから,制御系の設計も容易である.そして,補助関数で表されるシステムに対して制御系を構成すれば,その状態はもとの状態のノルムに対応しているため,もとの制御対象に対しても有効であると期待できる.
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