1996 Fiscal Year Annual Research Report
局部座屈及び延性破壊の相互効果で決定づけられる高張力鋼梁の塑性変形能力評価
Project/Area Number |
08750681
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
五十嵐 規矩夫 東京工業大学, 工学部・建築学科, 助教授 (40242292)
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Keywords | 梁 / 塑性変形能力 / 延性破壊 / 局部座屈 / 高張力鋼 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究は,梁の最大耐力決定要因として圧縮フランジの局部座屈と,引張フランジの延性破壊の両方を対象とし,梁の塑性変形能力がこれらの要因の相互効果により決定されるものとして捉えた。ここでは降伏比の高い高張力鋼を用いた梁を対象として,各板要素の幅厚比、材長を変数とし,実験を通してこれらの要因が梁の崩壊性状に与える基本的な影響を確認した。 具体的には,梁の塑性変形能力を高める上で構成板要素の幅厚比を小さくすることは必要であるが,特定の幅厚比以下のものを使用する場合には,梁の最終崩壊形式が引張フランジの延性破壊となることがあり,小さい幅厚比の梁ほど塑性変形能力は小さくなることを明らかにした。また,ウエブ幅厚比の小さい梁は,フランジの局部座屈を抑制する効果によりフランジの局部座屈が成長せず,最大耐力が引張フランジの延性破壊で決まる可能性があり,延性破壊に関してもウエブ,フランジの相互作用を考慮する必要があることを示した。さらにウエブ,フランジの幅厚比が共に等しい同断面の梁においても材長が短くなると最大耐力が延性破壊が決定される可能性があり,梁の崩壊形式及び塑性変形能力評価にはモーメント勾配も考慮する必要があることを示した。 同時に数値解析を通して,局部座屈と延性破壊の相互効果で決定される高張力鋼梁の塑性変形能力をフランジ幅厚比で整理し、最大耐力の決定要因が局部座屈から延性破壊に遷移するフランジ幅厚比の境界は,ウエブ幅厚比,材長により変化し,ウエブ幅厚比が小さいほどフランジ幅厚比の境界値は大きくなり,モーメント勾配がきついほど同様に大きくなることを明らかにした。また,梁の塑性変形能力を局部座屈と延性破壊の両面から評価し構成板要素の幅厚比で整理することができることを示した。
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