1996 Fiscal Year Annual Research Report
宮崎県における伝統的民家と公社形式住宅の温熱環境の実測調査とその性能の比較
Project/Area Number |
08750715
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
小原 聡司 都城工業高等専門学校, 講師 (60214219)
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Keywords | 宮崎県 / 伝統的民家 / 宮崎県住宅供給公社 / 夏季 / 温熱環境 / 実測調査 / グローブ温度 / 宮崎県県総合博物館 |
Research Abstract |
宮崎県総合博物館内の民家園(所在地:宮崎市)へ県内各地から移築された築133〜220年前後の伝統的民家4棟(旧藤田家・旧黒木家・西米良の民家・椎葉の民家,いずれも農家)と,民家園とほぼ同じ位置にある県住宅供給公社の標準仕様の断熱(天井断熱50mmのみ)を施した住宅1棟(S邸)の計5棟において,平成8年8月に温熱要素の実測を行い,天候別に比較を行った。その結果を以下に示す。 1.空気温度とグローブ温度の差 伝統的民家は晴天・曇天・雨天に関わらず空気温度とグローブ温度が一致しており,天候の影響を受けていなかった。しかしS邸は晴天日の午前中に0.3〜0.5℃,空気温が高くなっており,また曇天日及び雨天日は終日0.4〜0.6℃程度空気温の方が高かった。伝統的民家における屋根表面(天井は全棟とも無い)からの輻射と,S邸の天井面からの輻射の強弱を考えるとこの結果は予想と逆であった。 2.伝統的民家間のグローブ温度の比較 晴天日については旧黒木家の午前中の温度上昇が他棟に比べ早かった。これは旧黒木家のナカエのみが竹敷きで,板張りの他棟に比べて床下との通風が行われやすいことと,壁各面に開口部があり,温度の上昇した外気の導入が阻害されにくいためであった。旧藤田家は4棟の中で最も晴天日の日較差が小さかった。土壁による熱容量の大きさと,開口が南面しかないこと,床下が他棟ほど開放的でないことが有利に作用していた。しかし曇天日・降雨日には差が現れなかった。 3.グローブ温度と外気温との関係 伝統的民家はいずれもグローブ温度が外気温より下回る時間帯がS邸より4時間程度長く有利であった。 4.グローブ温度と外気温の日較差の比 ΔG_1/ΔT_0はS邸の0.80に対し,伝統的民家は0.52〜0.66といずれも公社仕様のS邸の8割以下でかなり安定していた。
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Research Products
(1 results)