1996 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀及び17世紀イタリアにおける建築と音楽の変化に関する研究
Project/Area Number |
08750746
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
菅野 裕子 横浜国立大学, 工学部, 助手 (40262414)
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Keywords | 16世紀 / 17世紀 / 音楽 / 時間 / 空間 |
Research Abstract |
建築は一般に空間芸術の非再現芸術或いは形式芸術に分類され、通常は絵画や彫刻のように具体的な物を再現することはない。その為、建築は人間の持つ空間観をあらわに映し出してきた歴史遺産と考えることができる。音楽もまた同様に時間芸術の形式芸術に分類され、数多く残された音楽作品にはそれぞれの時代の人々の時間観が映し出されている。この空間と時間とは共に無限のものであるが、人々がこれらをいかに認識し観測していたかは時代によって異なる。しかし、その変化の経過には空間と時間とで何らかの共通性があるのではないかという考えが本研究の発端であった。本研究は、同時代の建築と音楽を比較する上で、空間観と時間観の変化の並行性により、建築と音楽の変化の何らかの並行性を見いだそうというものである。 本年度は無限の空間や時間を意識したと考えられる作品の出現時期を探るため、建築における凹曲面外壁が現れた時期、その地域的分布、及び、音楽における弱起の曲の発現時期、テンポの変化などについて考察した。その結果、両者は共に16世紀に入りイタリアで出現したことが指摘できたが、これについては本年度9月に行われた日本建築学会大会(滋賀)にて発表した。 なお、この研究のための書籍、研究に際し必要となった消耗品(文房具類)は本年度の補助金より購入した。また、資料収集のための図書館登録費用(国立音楽大学付属図書館)も本年度の補助金よりまかなった。
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