1996 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト・ラメセス期の神殿建築における列柱空間の設計方法の分析
Project/Area Number |
08750752
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柏木 裕之 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (60277762)
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Keywords | 古代エジプト / ラメセス / 神殿建築 / 列柱空間 / 設計方法 / 寸法 |
Research Abstract |
古代エジプト・ラメセス2世はエジプト全土に膨大な数の建造物を建立した王として知られ、「建築王」の異名すらとる。本研究はこの活発な建築活動を可能たらしめたラメセス朝の建築システムを解明することを目的とし、その第一歩として建築設計における寸法値の決定方法について復原的に考察した。 建築活動の際に記された建築図面やメモ書きは建築設計方法を研究する上で大きな役割を果たす。古代エジプトで知られるこの種の建造文書類は、その大部分が岩窟墓の建造に関係したものであり、かつラメセス2世に始まるいわゆるラメセス朝に該当するものが圧倒的に多い。これらの建造文書には部屋の名称と共に、長さ、幅、高さといった規模が当時の尺度を用いて記されている。そこでこの寸法値に着目し、どのような数値が用いられ、また寸法値相互の関係からどのような手順で決定されたのかを考察した。併せて古代エジプトで用いられた度量衡について、近年新説が提出されている「ネビュ」寸法体系も含め整理した。その結果、ラメセス朝の岩窟墓の設計においては、約52.5cmに相当する1王室肘尺(ロ-ヤルキュービット)だけでなくそれより低位の単位寸法である掌尺(約7.5cm)も併用して寸法を指定していたことが明らかとなった。それに対し、より低位の指尺(約1.875cm)は稀にしか使われず、特に1肘尺の二分の一を表現する際に「3掌尺2指尺」として書き表されるなどの傾向を抽出した。そして文書から導き出されたこれらの特質が実際の遺構でどの程度反映しているかを検討するため、ラメセス時代の建築的特徴が最もあらわれている列柱空間を対象に柱-柱間の関係を調べ、柱心よりも柱面あるいは柱礎石面で計画された可能性が高いことなどの結果を得た。
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[Publications] 遠藤孝治、吉村作治、中川武、西本真一、柏木裕之、井上桂: "マルカタ王宮内アマルナ型住居について-マルカタ王宮に関する研究42" 日本建築学会大会学術講演梗概集. F-2. 393-394 (1996)
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[Publications] 井上桂、吉村作治、中川武、西本真一、柏木裕之、遠藤孝治: "マルカタ主王宮B室の天井画について-マルカタ王宮に関する研究43" 日本建築学会大会学術講演梗概集. F-2. 395-396 (1996)
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[Publications] 柏木裕之、吉村作治、中川武、西本真一、井上桂、遠藤孝治: "マルカタ主王宮B室より出土したコ-ニス・トーラスの復原について-マルカタ王宮に関する研究44" 日本建築学会大会学術講演梗概集. F-2. 397-398 (1996)
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[Publications] 柏木裕之: "度量衡について" 別冊「生きる」古代エジプトVII. 86-88 (1997)
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[Publications] Sakuji Yoshimura,Izumi H.Takamiya,Hiroyuki Kashiwagi,Shinichi Akiyama: "Waseda University Excavations at North Saqqara : A preliminary report on the forth season,August-September 1995" Journal of the Egyptian Studies. (1997)
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[Publications] 柏木裕之: "マルカタ南・魚の丘遺構の建築的特質について" 早稲田大学図像学研究会. (1997)