1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750764
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
芳賀 由美子 東京工業大学, 工学部, 助手 (10262297)
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Keywords | X線反射率法 / 薄膜 / 回転対陰極型X線発生装置 |
Research Abstract |
金属薄膜の成長初期では,膜は原子レベルでは平滑ではなく,島状構造をとるような不連続な粒子によって構成され,荒れていることが多い.このような薄膜については非鏡面散乱などの効果を考慮しなければならないため,粒子形態がX線反射率に影響する.この評価は容易ではないが必要性は高い.本研究ではシリコンウェハ-上にイオンビームスパッタリングによって作製した金薄膜の表面起伏状態,厚さ,密度をX線反射率法を用いて評価を行った.通常この方法は放射光などを用い,また精密な光学系を必要とするが,今回は通常の実験室レベルでの回転対陰極型X線発生装置を使用し,厚さが不連続膜領域から連続膜領域までの比較的薄い膜について,評価を行いその適用性も確認した.マイクロラフネスを考慮した解析ソフロウェアの作製も行った。シリコンウェハ-については測定した反射率曲線と計算による反射率曲線は比較的良い一致を示し,一般的な光学系によっても定性的には評価が可能であることを確認した.薄膜の堆積により,試料中には酸化物を含む多層構造が形成されているが,一般的な光学系によっても定性的にはその界面状態などの評価が可能であることを確認した.金薄膜については,比較的厚い膜では同様に定性的な評価は可能であることを示すことができた.しかし,膜が比較的薄く,不連続な領域になると,反射率曲線は複雑になり,粒形および粒径の分布状態が多大な影響を及ぼすことを確認した.これらを考慮するためには数種類の反射率曲線を合成する必要があり,一般的な薄膜の初期状態を定量的に評価するための問題点を提示した.
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