1996 Fiscal Year Annual Research Report
固相反応非晶質化のその場観察と計算シミュレーション
Project/Area Number |
08750769
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大久保 忠勝 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00242462)
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Keywords | 非晶質 / 拡散 / 固相反応 / 電子顕微鏡観察 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
金属積層膜の加熱処理による非晶質形成において、固相拡散反応への加熱温度と時間の影響、ミクロ的な拡散挙動、非晶質相の安定性などの解明を目的として実験を行ってきた。これまでに、その場観察の準備段階として、熱処理炉で加熱した試料について構造解析を行った。また、1000原子程度の単結晶多層膜モデルについて分子動力学法による加熱シミュレーションを行った。 1.試料作製、熱処理及びX線回折 Ni-Zr多層膜(膜厚:60nm/40nm)をスパッタ法で成膜した。熱処理した試料のX線回折により、600K前後で非晶質化の進行が認められた。しかし、Ni、Zr結晶による回折ピークも観察され、完全な非晶質構造には至らなかった。 2.断面TEM観察 非晶質化の進行していた試料について、イオン研磨法により薄膜化し断面TEM観察を行った。その結果、Zr層の非晶質化及びNi層膜厚の減少が観察された。この結果はNi原子がZr層中へ拡散することにより非晶質化が進行することを示唆している。 3.分子動力学シミュレーション 111面で積層した二元系の積層構造モデルを作成し、分子動力学シミュレーションを行った。計算は、周期的境界条件、一定圧力のもと、OKから液化するまで段階的に昇温した。モデル原子の質量、半径、異種原子間の結合エネルギーをパラメータとし、拡散速度に対するそれらの依存性について検討した結果、以下のことが明らかになった。 (1)原子質量の相違による依存性は、僅かではあるが質量差が大きいほど拡散が早くなる傾向が見られた。 (2)原子半径が異なる場合の方が拡散しやすく、その比率が70%から80%の間で最も拡散が促進され、それ以上に差が大きくなると僅かに拡散が抑制される傾向であった。 (3)異種原子間の結合エネルギーが同種原子間より小さい場合には、二相分離系となるため拡散は抑制される。逆に大きくなると拡散は大きく促進される。
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Research Products
(1 results)