1996 Fiscal Year Annual Research Report
化学気相成長法による超高温領域で使用する高性能酸素分離膜の作製
Project/Area Number |
08750773
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内藤 均 東北大学, 工学部, 助手 (40270813)
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Keywords | 化学気相成長法 / 酸素分離膜 / 電子-イオン混合導電体 |
Research Abstract |
将来のエネルギー源として,クリーンで単位重量当たりの発熱量が大きい水素に本研究では着目している.その水素生成法として,水の高温での熱解離現象を利用した高温水蒸気直接分解法を用いることを考えている.この方法を用いるためには高温で水蒸気が解離している状態で水素と酸素を分離する必要があり,高性能な酸素分離材の開発が必要である.本研究では,耐熱性があり,高い酸素イオン導電性を示すZrO_2-Y_2O_3系に,電子導電性を示すTiO_2を添加した混合導電体薄膜を化学気相成長法(CVD)により作製し,導電特性の評価や,酸素分離膜への適用の可能性について検討を行った. 原料は比較的低温で昇華し,腐食性ガスを放出しない有機金属化合物を用いた.薄膜の構造はX線回折,ラマン分光法を用い,薄膜は基板に対して(100)面が平行に成長し,立方晶蛍石型構造をとることが分かった.また焼結体ではTiO_2の固溶量が12mol%程度であるのに対し,TiO_2の固溶量の高い組成のものでも単一相を形成しており,CVD法により電子導電性を誘起するTiO_2固溶量の高い混合導電性薄膜の作製が可能であることが分かった. 電気導電特性はインピーダンスアナライザを用いて,温度依存性,1000Kにおける酸素分圧依存性を評価した.電気伝導度は焼結体試料で得られた結果と同様にTiO_2の固溶量が大きいほど,空気中での伝導度は減少するが,低酸素分圧雰囲気では伝導度が上昇した.これは電子伝導度の増加によるもので,TiO_2の固溶量が大きい試料ほど電気伝導度の増加率は大きくなった.酸素分離材として利用する際には酸素イオン導電性だけでなく,電子導電性も高くなくてはならないので,CVD法で作製した混合導電体薄膜を用いると酸素分離膜として性能が向上すると考えられる.今後,さらに高温での導電特性の評価,酸素透過率の測定などにより評価を行うことが必要である.
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