1996 Fiscal Year Annual Research Report
層状ペロブスカイト類似構造を持つクロム、コバルト複合酸化物の熱電能に関する研究
Project/Area Number |
08750796
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 大阪大学, 工学部, 助手 (80267640)
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Keywords | K_2NiF_4構造 / 層状ペロブスカイト構造 / 熱起電力 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
La,Sr,Cr及びCoの各酸化物,炭酸塩を出発原料として、1100〜1500℃での固相反応により、La_<2-x>Sr_xCrO_4(1.0≦x≦1.3)およびLa_<2-x>Sr_xCoO_4(0≦x≦1.2)を合成した。仮焼粉末を1〜1.5GPaでCIP成形することにより、相対密度85〜98%の焼結体を合成した。La_<2-x>Sr_xCrO_4(1.0≦x≦1.3)の室温における電気伝導度は10^<-1>S・m^<-1>(x=1.0)から10^1S・m^<-1>(x=1.3)へとSrドープにより増加した。これらの室温〜77Kでの電気伝導度は温度の-1/4乗に比例しvariable range hopping(VRH)伝導で記述できた。また、室温における熱起電力は、343μVK^<-1>(x=1.0)から89μVK^<-1>(x=1.3)へとSrド-ピングにより減少した。VRHモデルによれば、熱起電力は温度の1/2乗に比例する。これより、La_<2-x>Sr_xCrO_4の熱起電力は、室温以上の高温でより大きくなると推測した。室温〜300℃で熱起電力を測定した結果、この温度域での熱起電力は室温の値とほぼ同じであり、温度依存性は見られなかった。そこで、同じ温度範囲での電気伝導度を測定した。その結果、La_<2-x>Sr_xCrO_4の電気伝導度の温度依存性は、100℃付近を境にVRH機構から、通常のホッピング機構かもしくはバンド伝導的な機構に変化していることがわかった。また、VRH伝導機構で記述できる室温〜100℃間の熱起電力に差がないことから次を考察した。VRH伝導の熱起電力の温度依存性は、温度の1/2乗に比例しまた、伝導を担う不純物状態の局在半径の逆数の3乗に比例する。室温〜100℃間の熱起電力に温度依存性が見えなかったのは、不純物状態の局在半径が増大し、それが温度上昇の効果を相殺したためと推測する。La_<2-x>Sr_xCrO_4系のx=1.2では、室温で10^2Sm^<-1>という高い電気伝導度と200μVK^<-1>という大きな熱起電力を観測した。
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Research Products
(1 results)