1996 Fiscal Year Annual Research Report
高Fe濃度ナノ結晶永久磁石材料の開発および硬質磁性発現機構の解明
Project/Area Number |
08750808
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 章 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40250815)
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Keywords | 高鉄濃度 / 永久磁石 / ナノ結晶 / 残留非晶質 / 部分結晶化 / 磁気的交換結合 / 高磁束密度 / 二段熱処理 |
Research Abstract |
本研究では、高Fe濃度ナノ結晶硬質磁性材料の開発とその発現機構をより詳細に解明することを目的とし、研究開始当初、以下の6項目を設定した。すなわち、1) Fe-Nd-Bおよび多元合金で最大エネルギー積が100kJ/m^3を越える優れた硬質磁性を示す合金系および組成の探査、2)高Fe濃度高Fe-Nd-B合金が優れた硬質磁性を発現する機構の解明、3)熱処理プロセスを様々に変化させることによる最適条件の詳細な調査、4)試料をバルク化する条件の調査、確立、5)窒化処理の可否、および硬質磁性の向上の有無の調査、6)超微粒子作製により、本合金のナノ結晶の生成機構を明らかにする、である。その結果、1)最適合金は、Feを約90原子%含む高Fe濃度のFe-Nd-B系合金であり、残留磁束密度(β_r) 1.2〜1.3T、保磁力(_iH_c)250〜280kA/m、最大エネルギー積(BH)_<max>120〜145kJ/m^3の優れた永久磁石特性が得られることを見出した。2)この優れた硬質磁石をもたらしている高い残留磁束密度は強磁性アモルファス相を介したbcc-Fe粒子間の磁気的結合により、さらに比較的大きな_iH_cは強磁性のbcc-Feとアモルファス相を介したFe_<14>Nd_2B粒子間の磁気的交換結合により発現していると考察した。さらに、3)Fe_<90>Nd_7B_3合金において、二段熱処理が有効であることを見出した。具体的には、最適熱処理(923K, 180s)から723K, 180sへ2段熱処理をすることにより、B_r, _iH_c, (BH)_<max>はそれぞれ1.08 T, 250 kA/m, 100 kJ/m^3から1.16 T, 258 kA/m, 130 kJ/m^3へ向上した。これは、二段熱処理により残留非晶質相からbcc-Feが析出し、その体積分率が増加すると共に、非晶質相を介してFe_<14>Nd_2B相との磁気相関が強くなったためと考えられる。4)については、バルク化に必要なアモルファス形成能が不足、5)では合金系が不適切のため、また、6)に関しては、Nd組成の制御が不能のため、本研究の期間内での実験を遂行することができなかった。
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Research Products
(1 results)