1996 Fiscal Year Annual Research Report
光機能材料としての金属微粒子薄膜における光吸収と粒子間相互作用の研究
Project/Area Number |
08750809
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 裕史 東北大学, 工学部, 助手 (50236022)
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Keywords | 光機能材料 / 金属微粒子 / その場赤外分光法 |
Research Abstract |
金属微粒子薄膜の光物性を明らかにするため、貴金属微粒子間の相互作用に着目した基礎研究を行った。粒子間相互作用による直接的な情報を得るために、通常用いられるような平坦な基板ではなく既知の間隔の溝を設けた基板を用いた。#2000のエメリ-紙により表面を研磨することにより、一方向の溝をもうけた。この基板を、水平面に対し(溝方向を平行に保ったまま)60度傾け、斜め蒸着を行うことにより、溝の部分でとぎれた帯状の蒸着膜を作成した。用いた基板は、SEM測定用にシリコンウェハ、可視分光測定用にパイレックスガラス板を使用した。蒸着金属には銀を使用し超高真空中で電子ビーム加熱を用いて蒸着を行った。作成した膜をFE-SEMで観察したところ、300〜400nmごとに途切れている帯状膜が形成されていることが確認された。溝と平行な方向には半無限に金属粒子が並んでいるが、垂直な方向は溝によって粒子の並びが途切れ、有限個の粒子のみが並ぶ蒸着膜に対し、溝に平行な偏光と垂直な偏光を入射して測定を行った。可視分光測定の結果では、測定を行った全ての膜厚において、溝に平行な偏向を用いた場合には溝がない試料と全く同じスペクトルが得られたのに対し、溝に垂直な偏向を用いた場合には常により短波長側にピークが現れるという結果が得られた。さらに、蒸着速度を変化させより均一な、金属の島がひとつひとつ独立に存在するような条件で成膜を行うと、両偏向の結果の差が小さくなることを確認した。以上のことから、金属島状膜における、金属微粒子間の相互作用の存在が確認できた。今後は、さらに赤外領域までエネルギー範囲を広げ、さらなる金属微粒子物性の解明を行っていきたい。
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[Publications] Y. Suzuki: "Influence of Lateral Interaction of Silver Islands on the Transverse Collective Electron-Light Resonance" Physics of Low-Dimensional Structure. 4/5. 37-46 (1996)
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[Publications] A. M. Polubotko: "The Common Character of the Phenomena Accompanying SERS and the Infrare Absorption Enhancement" Infrared Physics and Technology. 37. 479-482 (1996)