1996 Fiscal Year Annual Research Report
気相合成立方晶窒化ホウ素薄膜の紫外光伝導特性と紫外光センサー材料への応用
Project/Area Number |
08750811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 統 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10242041)
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Keywords | 立方晶窒化ホウ素 / 気相合成 / 薄膜 / 紫外光 / 光伝導 |
Research Abstract |
cBN薄膜堆積と材料学的評価 膜厚約200nmのcBN(6x8mm^2)薄膜を低圧ICP-CVD法および高周波バイアススパッタリング法で作製した。透過IR呼吸強度測定およびTEM観察によりcBN相の生成を確認した。また、XPSおよびAES測定から求めた窒化率はほぼ1であり、得られたcBN薄膜が化学量論組成を有していることが分かった。断面TEM観察より、これらのcBN薄膜の基板との界面には、5nm程度の非晶質層と40nm程度のtBN層が存在すること、tBN層はc軸が基板表面と平行になるように配向しており、その上にcBNがエピタキシャルに成長していること、cBN層には双晶が多く存在すること、結晶粒数10nm程度の多結晶層であることが明らかとなった。 cBN薄膜の紫外光による光伝導特性評価 cBN薄膜(6x8mm^2)上に、1mm間隙の金電極(1x4mm^2、厚さ200nm)を蒸着し形成した.この試料について、高圧水銀ランプを光源とし、未熱処理時の光伝導特性測定を行った。光量を稼ぐために分光器は使用せず光照射を行った。照射により電気伝導度に変化が見られたが、電極面を遮光すると伝導度の変化は見られなかったため、これは光照射によるコンタンクト抵抗の変化によると考えられる。AES測定による表面分析の結果、表面に極薄いsp^2結合層が存在することが確認された。このsp^2結合相は、絶縁性であるために良好なオーミックコンタクトの形成を妨げていたと考えられる。また、1keVのArイオンビーム照射により表面の顕著なsp^2結合相化が見られた。このことは、cBN薄膜では、ダイヤモンドと異なり、イオンビーム表面処理がオーミックコンタクト形成に利用できないことを示している。今後、良好なオーミックコンタクトを形成する方法を確立することが必要である。また、励起光源も、低圧水銀ランプやUVエキシマレーザー等の高出力光源を使用する必要があると考えられる。
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