1996 Fiscal Year Annual Research Report
定応力拡大係数試験によるチタン基繊維強化複合材の疲労中の繊維劣化機構の解明
Project/Area Number |
08750813
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
下条 雅幸 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (00242313)
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Keywords | 金属基複合材料 / 繊維強化 / 疲労き裂伝播 / 応力拡大係数 |
Research Abstract |
SiC繊維強化Ti基複合材料は高強度、高弾性率のため、次世代の航空宇宙用材料として注目されている。航空宇宙用材料は使用時に繰返し応力負荷を受けるため、その実用化には疲労挙動の解明が不可欠である。しかし、繊維強化基複合材料の疲労き裂伝播挙動は複雑で、加えた応力拡大係数に対してき裂の伝播速度が一定せず、再現性が乏しいことが問題となっている。これは、通常一定荷重振幅で試験を行っているため、母相のき裂長さの増加による応力拡大係数の上昇と繊維のブリッジングによる有効応力拡大係数の低下との微妙なバランスによって、き裂の進展が停止することや、試験片が破壊することがあるためである。そこで本研究では、一定応力拡大係数幅で疲労き裂伝播試験を行い、疲労き裂の進展挙動を測定した。また繊維の劣化に対する温度、環境の効果を調べるため、試験を室温および450℃、大気中および真空中で行った。その結果、き裂が進展し破壊に至るか、き裂が停止するかの閾応力拡大係数幅は再現性良く測定された。また、450℃大気中、応力周波数1Hzでは、き裂はほぼ一定速度で伝播し、その途中で規則的にき裂伝播速度が1桁以上低下する現象が観察された。この伝播速度が現象する間隔は、ほぼ繊維の間隔に等しかった。これらの結果より、以下のことが明らかとなった。 1.繊維強化複合材料であっても、基本的には応力拡大係数幅が一定ならば母相のき裂伝播速度は一定であり、繊維によりブリッジングが起きている間はき裂伝播速度が低下する。 2.さらに同一振幅の負荷をかけていると、繊維が劣化、破壊し、以前と同じ速度でき裂が進展する。 3.この繊維の劣化は、低温より高温、真空中より大気中でより顕著である。 4.き裂伝播、ブリッジング、繊維の劣化、繊維の破壊という過程を繰り返しながら、き裂が伝播していく。
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