1996 Fiscal Year Annual Research Report
ニオブの液体リチウム腐食に及ぼす侵入型不純物元素の電子構造計算
Project/Area Number |
08750815
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古井 光明 名古屋大学, 工学部, 助手 (90262972)
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Keywords | ニオブ / 侵入型不純物元素 / 液体リチウム腐食 / DV-Xαクラスター法 |
Research Abstract |
ニオブBCCクラスターの中心に侵入型不純物元素(ボロン,炭素,窒素,酸素),第一近接原子にリチムを置換した分子軌道計算によって、結合次数,イオン性,電子密度,レベル構造およびオーバーラップポピュレーションなどのパラメーターを得た。その結果、ニオブと不純物元素の共有結合の大きさを表す結合次数はボロンが最も大きく、次いで炭素,窒素,酸素の順になった。一方、リチウムと不純物元素の結合の大きさの順番は、におぶと不純物元素の結合の順番の逆であった。つまり、リチウムは特に金属中に存在する酸素,窒素と結合しようとするため、金属中にリチウムが浸透して化合物を形成しながら腐食を加速するという実験事実を裏付ける結果となった。 3d,4d,5d遷移金属の中から、ニオブに対して十分な固溶度をもつMo,Ru,Hf,Ta,W,Reをそれぞれ5at%添加したニオブニ元系合金を用いた1200℃の液体リチウム腐食試験によって、300時間浸漬後の腐食変化重量はNb-Re合金において最も大きく、その値は原子炉構造材の金属腐食耐久性の目安値を上回った。一方、その他の合金では良好な耐食性が確認され、中でもNb-Hf合金は液体金属との共存性が最も優れるとされるモリブデン合金と同じレベルの耐久性を有する。その腐食表面は粒界の優先的なダメ-ジやクラックのない穏やかな状態を呈している。さらに、質量移行に伴って表面に生成される腐食堆積物は確認されない。また、ニオブニ元系合金の腐食変化重量は、添加元素の酸化物生成自由エネルギー、すなわち酸化物の作りやすさの指標を用いて定量的に予測できることを明らかにした。
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