1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750823
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80274538)
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Keywords | 長繊維強化ポリアミド樹脂 / 衝撃引張挙動 / 高速引張試験 / ひずみ速度依存性 / 吸水性 / 恒温恒湿環境 / 衝撃層間破壊靱性 / 高速変位計 |
Research Abstract |
今回の研究は次の2つの研究に大別できる. 1.長繊維強化ポリアミド樹脂の衝撃引張破壊挙動 2.炭素繊維強化エポキシ樹脂の衝撃層間破壊靱性に及ぼす吸湿の影響 研究1では,油圧サーボ式高速試験機を用いて1x10^<-3>m/sから3m/sの負荷速度の範囲で4種類の長繊維強化ポリアミド樹脂の引張試験を行い,力学的特性に及ぼすひずみ速度の影響を調べた.複合材料の構成要素は強化材が炭素繊維(CF)またはガラス繊維(GF),母材がポリアミド6(PA6)または変性ポリアミド6(mPA6)である(mPA6はPA6に比べ高強度,高剛性).引張強度については,全てのひずみ速度でCF/mPA6が最も優れていた.一方,GF/mPA6は,低ひずみ速度ではCF/mPA6につぐ強度を示すが,高ひずみ速度では4種類の材料中最も低い強度を示していた.光学および電子顕微鏡観察の結果,GF/mPA6では負荷の増加に伴い樹脂中に数多くの微視的き裂が生じ,これらのき裂が繊維束の破損や剥離を誘発することがわかった.高速域ではこれらの損傷が材料の強度に重要な影響を及ぼすものと考えられる.破断による吸収エネルギーに関しては,低速域ではGF/mPA6が,高速域ではGF/PA6が最も優れており,ガラス繊維の伸び特性が複合材に十分生かされていると言える. 研究2は,繊維強化ポリアミド樹脂の衝撃挙動に及ぼす吸湿の影響を調べるための基礎的研究として行ったものである.恒温槽および恒温恒湿器を用いて,80℃温水中と80℃90%RHの2種類の環境下で構造材料として一般的な炭素繊維強化エポキシ樹脂を約1500時間吸湿させ,静的および衝撃荷重下で層間破壊靱性を測定した.その結果,今後の繊維強化ポリアミド樹脂を対象とした研究において基盤となる吸湿試験システムならびに高速変位計を用いた衝撃層間破壊試験システムを確立した.
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