1996 Fiscal Year Annual Research Report
β型チタン合金におけるω相を利用したα相およびβサブグレインの微細化
Project/Area Number |
08750835
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
牧野 武彦 名古屋工業大学, 機械工学部, 助手 (70273315)
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Keywords | β型チタン合金 / 組織制御 / 加工熱処理 / 冷間加工 / 二段時効 / ω相 / α相 / 優先析出 |
Research Abstract |
優れた機械的性質を持つ合金を作るためには母相粒の微細化と析出相の微細化かつ分散の均一化は基本的な指針である.β型チタン合金において冷間加工後に時効を施すと,加工組織のすべり帯上にα相が優先的に析出した後,β母相が回復しサブグレインが形成すること,さらにそのサブグレインの境界はα相によってピニングされることが明らかになっている.一方,低温+高温の二段時効,すなわち低温域で準安定ω相を生成させ,これをサイトとして高温域でα相を析出させる熱処理を行うと,α相が極めて均一微細に析出する.以上の知見より,本研究では冷間加工度に低温時効を行い加工組織を保持したままω相を析出させた後,高温時効によりω相をサイトしたα相の均一析出と加工組織の回復によるサブグレインの形成およびその微細化を図ることを目的とし,加工組織におけるω相の析出挙動および加工組織中にω相が存在する場合のα相の析出挙動を明らかにした.加工後の低温時効の時間による硬さの変化から,ω相生成による硬化の挙動は加工度の違いに影響を受けないことがわかった.これは加工前からβ粒倍に存在するω相の核が,時効により加工組織に関係なく成長するためと考えられる.組織観察から,ω相は加工組織に無関係に均一に生成することを明らかにした.また,このように加工組織中にω相が存在する場合,α相はすべり帯上に優先的に析出することを明らかにした.α相はすべり帯上に析出した後ω相からも析出するが,その時点では,すべり帯中の転位はα相の析出により大部分が消滅しており,もはやサブグレインを形成するほどの量が存在しないことを明らかにした.
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