1996 Fiscal Year Annual Research Report
生型砂造型シミュレータ開発のための湿潤粉粒体モデリング
Project/Area Number |
08750853
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 安郭 名古屋大学, 工学部, 助手 (10240813)
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Keywords | 離散要素法 / 生型砂造型 / 数値シミュレーション / 流気加圧造型 / Ergun式 / 圧縮変形 / 充てん密度 |
Research Abstract |
近年、圧縮空気を利用する生型砂造型プロセスが生産現場で用いられるようになっており、鋳物の高品質化や省エネルギー化をはかるうえで、これらプロセスに対する生型砂造シミュレータの開発が強く望まれている。本研究では、離散要素法(Distinct Element Method,DEM)を用いて生型砂造型シミュレータ開発のための湿潤粉粒体のモデリングを行うとともに、流気加圧造型に対して数値シミュレーションを行った。なお、今回対象とした生型砂は、新砂(フラタリー)にベントナイト(ボルクレー)を10%と適量の水分を添加して、シンプソンタイプの混練機にてコンパクタビリティ(CB)値を40%に調節したものである。 DEMによる湿潤粉粒体のモデリングにおいては、(1)生型砂は11万個/gが存在しており、実個数でのモデリングは不可能であり、ある程度の粒子群を一つの離散要素とする、(2)湿潤粉粒体の特徴である粘結力をCoulomb摩擦の法則を用いて算出する、(3)一軸圧縮試験で得られた応力とひずみの関係から空隙率とヤング率の関係を求め、生型砂の圧縮変形に応じて適宜ヤング率及びそれに関連するDEMパラメータの変更を行う、の工夫をした。モデリングの有効性を確認するために、□110×250mmの矩形断面をもつ鋳枠に対して流気造型実験(スクィーズ加圧なし)を行った。数値シミュレーションは、DEMによる接触力と、Ergun式を用いた充てん砂層内を流れる空気流解析結果から算出される流体効力による砂粒子の移動計算である。シミュレーション結果と実験結果を比較した結果、初期の砂層高さから造型終了時の砂層高さへの圧縮変形(つき固め)挙動、造型終了後の充てん密度分布等がほぼ一致し、本モデリングの有効性が確認できた。さらに、造型条件を変化させてシミュレーションを行った結果、流気速度の上昇により造型メカニズムが圧力差依存の流気から粒子間衝突による衝撃力に変化することが明らかになった。
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[Publications] 牧野泰育他: "離散要素法による流気加圧造型の数値解析" 鋳造工学. 69巻2号. 147-153 (1997)
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[Publications] H.Makino et al.: "Process Analysis of Sand Molding Using Distinct Element Method" Proc.of 3rd Pacific Rim International Conference on Modeling of Casting and Solidification Processes. 34-39 (1996)