1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750893
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上江洲 一也 九州大学, 工学部, 助手 (40253497)
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Keywords | 界面鋳型重合 / 分子認識 / 光学異性体 / 分離精製 / 吸着 / 分子設計 / 樹脂 / エマルション |
Research Abstract |
光学異性体を認識するための機能性モノマーを設計・合成し,モノマーの樹脂への配向状態を検討した。油水界面において大きな鋳型効果(高い吸着能力と高い選択性)を発現するためには,ゲスト分子を選択的に認識する機能性モノマーの分子構造ならびに界面吸着特性が,非常に重要な役割を果たすと考え,光学異性体を高選択的に認識し界面鋳型樹脂調整に最適な機能性モノマーを合成するために,以下の3点を設計指針とした。指針を決める際に,計算化学による情報も取り入れた。(1)光学異性体認識部位としてリン酸基あるいはホスホン酸基をもつ,(2)鋳型樹脂のマトリクスであるジビニルベンゼンとの相互作用を高め強く固定するようにベンゼン環をもつ,(3)界面吸着特性を制御できるようにアルキル鎖をもつ。設計指針に基づいて合成した5種類の機能性モノマーを用いて界面鋳型樹脂を調製し,それぞれの機能性モノマーの配向状態をベースメタルである銅イオンと亜鉛イオンの吸着によって評価した。その結果,ベンゼン環にホスホン酸基がついたモノマー2つをC12のアルキル鎖で結んだ機能性モノマー(A)が,鋳型分子に対して最適な配向状態を維持していることがわかった。この機能性モノマーは,他の4種類の機能性モノマーと比較して油水界面での吸着能力に優れていた。すなわち,界面吸着能力を計算化学で推測することによって機能性モノマーの設計が可能である。今後,モノマーAを用いて,リン酸基との相互作用が強い光学異性体を用いて界面鋳型樹脂を調製し,分子認識能を評価する予定である。
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