1996 Fiscal Year Annual Research Report
2′, 5′-結合を含むRNAオリゴマーのキャピラリー電気泳動分析法
Project/Area Number |
08750945
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川村 邦男 大阪府立大学, 工学部, 助手 (50204772)
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Keywords | キャピラリー電気泳動分析法 / リボ核酸 / 2′, 5′-RNA / シクロデキストリン / 迅速分析法 / 化学進化 / RNAワールド / 生命の起源 |
Research Abstract |
RNAは遺伝情報と酵素機能の両方を持つため,地球上において最初に遺伝情報を持った物質であると考えられている.本研究ではRNAの化学進化過程を研究するための計測法として,キャピラリー電気泳動法(CE)を用いて,生体内では遺伝情報を保持しない2′, 5′-結合を含むRNAに対する高性能計測法を開発することを目的とし,以下の成果を得た.(1)界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いるミセル導電クロマトグラフィー(MEKC)について,アデノシンヌクレオチドモノマーおよびその2量体の種々の異性体の泳動挙動および分離性能を調べた.その結果,このMEKC法では,2′-, 3′-,および5′-AMPおよび2′, 5′-および3′, 5′-結合を持つアデニルアデノシンモノリン酸(A2′pAおよびA3′pA)を分離する条件は見つからなかった.(2)上記の方法について,ミセルに対するヌクレオチド類の分配を促すため,マグネシウムイオンを添加する方法および第四級アンモニウム塩を添加する方法について検討したが,分離できなかった.また銅イオンと高濃度の尿素を添加する方法(A. S. Cohenら,Anal. Chem. 1987, 59, 1021.))について検討したが,モノマーおよび2量体を分離することはできなかった.(3)シクロデキストリン類を添加する方法について検討した.この方法では,MEKCにおいても,アデノシンものリン酸モノマー類の分離性能は多少向上したが,2量体は全く分離されなかった.(1)および(2)の結果から,ヌクレオチドはミセルに対してほとんど分配しないことが分かったので,ミセルを加えないゾーン電気泳動法について検討した.その結果,2量体を分離できる条件を発見した.
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