1996 Fiscal Year Annual Research Report
フッ化物イオン伝導体を用いた新電解フッ素化法の開発とその応用
Project/Area Number |
08750962
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
松尾 吉晃 姫路工業大学, 工学部, 助手 (20275308)
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Keywords | フッ化物イオン伝導体 / 電解フッ素化 / フラーレンC_<60> |
Research Abstract |
室温で10^<-3>Scm^<-1>という高いイオン伝導性を示すフッ化物イオン伝導体PbSnF_4を用いた新しい電解フッ素化法により、ベンゼン及び1, 1, 2, 2-テトラクロロエタン中において定電位法でフラーレンC_<60>をフッ素化し以下の知見を得た。 ベンゼンに溶解したフラーレンC_<60>は1.2V〜3.0V vs Cu/CuF_2でフッ素化され、赤外吸収スペクトル測定では、フラーレン特有の4本の吸収ピークは消失し、1040cm^<-1>〜1080cm^<-1>付近に炭素-フッ素結合に特有の吸収ピークを与えたことから、この新しい電解フッ素化法が、炭素-フッ素結合の生成に効果があることが示された。設定電位が3.0Vになると1260cm^<-1>にフッ化黒鉛と類似の吸収ピークが観測されるようになり、フラーレンC_<60>の球状構造は破壊されよりフッ素化が進行したと考えられる。一方、ベンゼンよりも誘電率の大きな1, 1, 2, 2-テトラクロロエタン中でのフッ素化では、1.9Vという低い電位においても球状構造の破壊が起こることがわかった。さらに、試料には含酸素基までもが導入されていることから、誘電率が大きな溶媒中では不純物として含まれる水の影響をも受けているものと推定される。 また、このフッ素化法では、設定電位の値に関係なく、フッ素化が開始されるまでに電流値が停滞する誘導期間が存在するという興味深い現象が見いだされた。これは、イオン伝導体の構造変化や、イオン伝導率の変化を伴う可能性があるため、この現象の解明は今後の課題となっている。
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