1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750969
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 助手 (70261401)
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Keywords | 五酸化タンタル / 薄膜 / スパッタリング / 陽極酸化 / 比誘電率 / リ-ク電流 |
Research Abstract |
スパッタリング法による成膜は、rfマグネトロンスパッタ装置中、Taターゲットのアルゴン、酸素混合ガスによるスパッタリングによってガラス基板上に厚さ約300nmのTa_2O_5膜を堆積させた。電気特性を評価するためは、下部電極Pt(またはTa)上部電極Alをそれぞれ加えた構造のキャパシタを作製して行った。成膜時の酸素ガス流量比は22-30%が最適であることが実験から判明した。これ以下では、金属のタンタルや酸素欠損により導電性のある酸化物膜が生じた。基板温度により結晶性に差があり、400℃以上でβ-Ta_2O_5相の生成が認められ、300℃以下ではアモルファスであった。比誘電率、tanδ、リ-ク電流値から総合的に判断したところ、400℃、酸素流量比26%のスパッタ条件下で、良好な特性の膜が得られた。一方、陽極酸化法による成膜は、ガラス基板にTa膜をスパッタし、それを化成液(2wt%ほう酸アンモニウム水溶液)に浸し、電流密度3mA/cm^2,電圧180Vで、60分間陽極酸化した。これに、Al電極を蒸着してスパッタ膜と同じ構造のキャパシタを作製し、物性を比較した。 作製法の比較を行うためには各因子を同一にする必要があるので、基板温度は無加熱で統一した。その結果、比誘電率、tanδの値に大きな差は見られなかったが、リ-ク電流値はスパッタ膜の方が大きな値を示した。ゾル・ゲル法で作製した場合は、これらの特性は400℃程度での熱処理を伴わなければ良好な値を示さないので、低温で作製するにはこれら2つの方法がより適していると言える。次にこれらのキャパシタを200℃、400℃で熱処理して物性を比較したところ、200℃では両者とも熱処理前とほぼ同じであったのに対して、400℃では、陽極酸化膜はリ-ク電流値が大幅に増加していた。一方、スパッタ膜では、多少の増加傾向を示す程度であり、耐熱性において優れていることが判明した。
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