1996 Fiscal Year Annual Research Report
ジホウ素化合物のクロスカップリングを利用する新規ホウ素官能基導入法の開発
Project/Area Number |
08750981
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石山 竜生 北海道大学, 工学部, 助教授 (00232348)
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Keywords | ジホウ素化合物 / アリール求電子剤 / パラジウム触媒 / クロスカップリング反応 / アリール型ホウ素化合物 / アセトキソパラジウム / 非対称ビアリール合成 |
Research Abstract |
1,2.ジホウ素化合物とアリール求電子剤のクロスカップリングが、PdCl_2(dppf)触媒とKOAcの存在下、DMSOまたはジオキサン中で容易に進行し、対応するアリール型ホウ素化合物を選択的に与えることを見いだした。ジホウ素化合物としては、テトラアミノ誘導体は利用できなっかたがピナコールエステルまたはメチルエステル等のアルコキシ誘導体はカップリング体を収率良く与えた。 3.基質としてはハロゲン化物およびトリフラートが利用できる。適用範囲は広く、電子供与基あるいは求引基を有するもの、ヘテロ環を有するもの、また立体障害の大きなものの反応も問題なく進行する。官能基選択性にも優れており、芳香環にカルボニル、ニトリル、ニトル基等を有するアリールボランも収率良く得られた。 4.ジシランやジスタナンと同様、反応はAr-XのPd(0)への酸化付加、ボリル基のPdへのトランスメタル化、Ar-B<の還元脱離を経由すると考えられる。異なる点は、トランスメタル化段階に塩基であるKOAcが必要なことである。酸化付加体であるPh-Pd-BrとKOCcとの反応を行ったところ、Ph-Pd-OAcの生成が確認され、このものをジホウ素化合物と反応させたところカップリング体であるPh-B<が得られた。これに対し、KOAcをジホウ素化合物と反応させても四配位活性種の生成は確認されない。このことは本反応のトランスメタル化がオキソパラジウム経由で進行することを強く示唆している。 5.本法を非対称ビアリール類の合成に利用した。すなわち、二つの異なるアリール求電子剤を段階的にカップリングさせることによるワンポット合成である。ビアリール骨格を有する有用化合物は数多く知られており、本法はこれらの効率的合成に利用できるものと期待している。
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[Publications] Tatsuo Ishiyama: "Platinum (0) -Catalysed Diboration of Alka-1, 3-dienes with Bis (pinacolato) diboron" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.2073-2074 (1996)
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[Publications] Tatsuo Ishiyama: "A Synthesis of Allylboronates via the Palladium (0) -Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Bis (pinacolato) diboron with Allylic Acetates" Tetrahedron Lett.37. 6889-6892 (1996)
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[Publications] Tatsuo Ishiyama: "A Synthesis of (E)-(1-Organo-1-alkenyl) boronates by the Palladium-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of (E)-1, 2-Bis (boryl)-1-alkenes with Organic Halides : A Formal Carboboration of Alkynes via the Diboration-Coupling Sequence" Chem.Lett.1117-1118 (1996)
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[Publications] Tatsuo Ishiyama: "The Palladium-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of 9-Organothio-9-borabicyclo [3.3.1] nonanes with Organic Electrophiles : Synthesis of Unsymmetrical Sulfides" J.Organomet.Chem.525. 225-232 (1996)