1996 Fiscal Year Annual Research Report
長期にわたる炭化水素の二次移動の定量的評価に関する基礎的研究
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08751085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳永 朋祥 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70237072)
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Keywords | 二次移動 / 二相置換 / ボンド数 / キャピラリー数 / 相対浸透率 |
Research Abstract |
地層中を不混和な二種類の流体が移動するプロセスは、油田形成過程を考察するうえでは、長期にわたるキャリアー層中の二次移動現象として重要であるのみならず、石油・有機塩素系溶剤のような有機化合物による帯水層の汚染やその他の環境問題を評価するうえで重要な現象の一つである。一般に、この現象は多孔質媒体内の二相置換の問題として定式化されてきているが、自然界で起こっている非常にゆっくりとした置換に対してこのような定式化が応用できるのか、また、そのパラメータはどのようなものであるのかに関してはそれほどよく分かっていない。石油地質学の分野では、非常に遅い置換現象である石油の二次移動を評価するために実験的研究が行われているが、これらの実験結果に関する定量的評価はなされていない。本研究では、ゆっくりとした二相置換を定量的に表現することを目的とし、その形態を可視化し分類を行うと共に、結果を表現するための多相流動パラメータに関する検討を行った。 本研究の結果得られた結論は以下の通りである。 (1)石油-水二相流体の垂直一次元置換実験を行った。その結果、置換の営力の相対的な大きさの違いに応じて二種類の置換の形態が認められた。置換の営力をボンド数(Bo)とキャピラリー数(Ca)で評価すると、高Ca/Bo比の場合にはショックフロントが形成され、低Ca/Bo比の場合にはいくつかのフィンガーを通って石油の上昇が見られた。 (2)二種類の置換形態に応じた流体の移動・圧力の変化を表現するための相対浸透率曲線を求めた。その結果、高Ca/Bo比での置換は、一般的な相対浸透率曲線で説明できるが、低Ca/Bo比での置換を表現するためには、特殊な曲線を用いる必要があることが示唆された。自然界での置換の条件を考えると、長期の多相流動では、相対浸透率の異方性を考慮する必要があるのかも知れない。
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[Publications] 徳永 朋祥 ほか: "有機化合物の飽和帯水層内移動に関する基礎的実験" 平成8年度日本応用地質学会研究発表会講演論文集. 201-204 (1996)
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[Publications] 徳永 朋祥 ほか: 石油技術協会平成9年度春季講演会講演要旨. (発表予定). (1997)
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[Publications] 徳永 朋祥 ほか: "長期の流体流動モデリングに与える岩石物性パラメータの影響" 地球惑星関連学会1997年合同大会講演要旨. (発表予定). (1997)