1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08760009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤野 介延 北海道大学, 農学部, 助手 (80229020)
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Keywords | Oryza sativa / ABA / 形態形成 / イネ / カルス / ペルオキシレドキシン |
Research Abstract |
稲カルスにおいて形態形成を誘導する前にABA処理やストレスを与えることにより再分化率が向上する。そこでABA処理を行ったカルスよりタンパクを抽出しSDS-PAGEを行ったところ無処理区には存在しないタンパクがいくつかみられた。このうち24.5kDのタンパクを精製し抗体を作成した。このタンパクのアミノ酸シークエンス等を行なったところオオムギの種子の成熟過程に出現するタンパク質と高い相同性が見られた。このアミノ酸配列からプライマーを合成しRT-PCRを行い、増幅したDNA断片をプローブとしライブラリーよりcDNAをスクリーニングした。このcDNAのシークエンスを行い、塩基配列を決定し(D63917)RPer-1とした。RPer-1は酵母や人など生物に広く存在するTSA(Thiol-specific Antioxidant)又はペルオキシレドキシンと高い相同性を示した。RPer-1を大腸菌で発現させたところイネの24.5kDの抗体と反応し、またTSA活性を示した。RPer-1はイネの培養カルスにおいて、恒常的にわずかながら発現しているが、3mg/1 ABA処理に対し1時間以内に強く発現し、また乾燥処理においてはABAよりもはるかに強く発現した。 以上のように本研究では、ABAにより誘導される蛋白質のアミノ酸配列よりそれをコードする遺伝子の塩基配列を決定し、またその発現を研究した。今後はこの遺伝子が形態形成にどのように関与しているか検討し、これにより稲や大麦などの禾本科の組織培養における種子からのカルス誘導や効率の高い形態形成系の確率を図るものである。
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