1996 Fiscal Year Annual Research Report
シクラメンの倍数性育種と遺伝資源の開発による花色変異の拡大
Project/Area Number |
08760027
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高村 武二郎 香川大学, 農学部, 助手 (40253257)
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Keywords | シクラメン / 花色 / 花色素 / 種間雑種 / 遺伝資源 / 倍数性育種 |
Research Abstract |
二倍体アシアニックシクラメンと四倍体シアニックシクラメンとの交雑においては,雑種第2代において初めて白色花および黄色花株が観察され,その割合は全体の36分の1であった.また,黄色花シクラメンと四倍体アシアニックシクラメンとの交雑においては雑種第2代で黄色花だけではなく白色花株も得られ,その割合も約36分の1であった.カラムオ-ブン(設備備品)を備えたHPLCで花色素を分析したところ,白色花ではほとんどフラボノールのみであり,黄色花ではほとんどカルコンのみであった.これらのことから,黄色花形質のみでなく,白色花形質も劣性の単一遺伝子に支配されていると考えられる.さらに,色素生合成経路から,白色花形質と黄色花形質の遺伝には関係があると思われ,今後ニ倍体レベルで詳しく調査する必要があろう. シクラメン野生種の花色,花色素,芳香性などを調査した結果,園芸品種にみられない花色素を同定することはできなかったが,花弁の模様と色からC.intaminatumを,花色と芳香性からC.purpurascensを有用遺伝資源と判断し,園芸品種との交雑を行った結果,C.purpurascensと二倍体赤色小輪花の園芸品種‘ラルゴ'および二倍体紫色花大輪花の園芸品種‘早生紫'との種間雑種が得られた.今後種間雑種の花色・花色素の遺伝等の調査が必要と思われる. 本実験の結果,シクラメン花色・花色素の遺伝についていくつかの知見が得られた.今後,種内・種間交雑における花色・花色素の遺伝をさらに詳しく分析することにより,シクラメンの花色育種の方向性が明らかになり,新しい遺伝資源の開発が進展するであろう.
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