1996 Fiscal Year Annual Research Report
プロトプラスト融合を利用したカキの種間雑種作出及び倍数性育種に関する研究
Project/Area Number |
08760034
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田村 美穂子 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (40258059)
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Keywords | カキ / 種間雑種 / プロトプラスト融合 |
Research Abstract |
2倍体のカキ属種D.glandulosa(2n=30,x=15)と6倍体のカキ品種D.kaki cv.Jiro(2n=90,x=15)のプロトプラストを単離し、電気融合した。改変KM8p培地で培養し、得られたカルスの相対核DNA含量をフローサイトメーターで測定した。約9割のカルスの核DNA含量がD.glandulosaとD.kaki cv.Jiroの核DNA含量の和であり、8倍体種間雑種カルスであると考えられた。カルスのRAPD分析を行ったところ、8倍体カルスはいずれもD.glandulosaとD.kaki cv.Jiroの双方に特異的バンドを有しており、種間雑種カルスであることが確認できた。また8倍体カルスのうち約17%のカルスは継代4回後に、染色体の偶発的倍加が起こり、16倍体になったことが明らかとなった。種間雑種カルスのうち16倍体1系統を含む約4割の系統から不定芽分化が認められた。得られたシュートのRAPD分析及びPCR-RFLPクロロプラストDNA分析から、種間雑種シュートは両親の核ゲノムを持っているが、葉緑体ゲノムはD.glandulosa由来のゲノムしか持たず、葉緑体ゲノムの選択的排除が起こった可能性が示唆された。。またフローサイトメーター分析によりシュートの倍数性は維持されていることが確認できた。16倍体シュートからの発根は認められなかったものの、8倍体シュートからは正常に発根し、その染色体数は両親の和である2n=120であることが明らかとなった。 以上の研究より、プロトプラスト融合によりカキにおいて初の種間雑種が作出され、またこれまで存在しなかった倍数性のカキが得られた。
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