1996 Fiscal Year Annual Research Report
クロコウジカビ酸性プロテアーゼAのX線結晶構造解析
Project/Area Number |
08760067
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 宏 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助手 (80272467)
|
Keywords | 蛋白質結晶構造解析 / 酸性プロテアーゼ / Aspergillus niger |
Research Abstract |
1.非ペプシン型酸性プロテアーゼであるクロコウジカビ酸性プロテアーゼAの立体構造を決定した。この立体構造モデルは軽鎖39残基の内1-33、重鎖173残基の内3-173、116個の水分子及び5個の硫安分子を含んでいる。そのうち7残基のアミノ酸側鎖については2状態の構造をとっていることが観測された。分解能1.4Aまでの回折強度データを用いた精密化の結果、R=20.4%,FreeR=23.1%,rms(bond)=0.008A,rms(angle)=1.634degであった。 2.本酵素はペプシン型酵素とは全く異なる2次構造モチーフを持つことが明らかとなった。分子の外形は三日月型でペプシン型酵素と類似しているものの、ペプシン型酵素がN端ドメインとC端ドメインに別れているのに対して、本酵素はそのようなドメイン構造をもっていない。またペプシン型酵素に見られるα-ヘリックスは全く存在しない。本酵素の構造は2枚の大きなβシートが平行に重なりあうことによって構築されており、従来に見られない構造モチーフを持っている。以上のことから酸性プロテアーゼとしての機能を保持するためには、必ずしもペプシン型酵素の2次構造モチーフを持つ必要はないということが明らかとなった。 3.立体構造をもとに酵素表面の疎水性の度合いを調べた結果、三日月型の内側表面は疎水性に富んでおり、ペプシン型酵素と同様にこの部位が活性部位を形成していることが予想された。今後は静電ポテンシャルの計算を行うことにより、活性部位について、ペプシン型酵素との精密な比較を行いたい。 4.ペプチドライブラリ法によりP1部位の基質特異性について調べた結果、チロシン、フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジンを持つものが良好な基質となることがわかった。今後は他の部位についても実験を行い、それらの結果を総合して阻害剤の設計を行いたい。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Sasaki, H.: "Crytal Structure of a non-pepsin-type acid proteinase,Aspergillus niger proteinase A" Acta Crystallog. sect.A. 52 Suppl.C107-107 (1996)
-
[Publications] Tanokura, M.: "X-ray crystallographic study of non-pepsin-type acid proteinase A from Aspergillus niger var.macrosporus" Photon Factory Activity Report. 13 (in press). (1996)