1996 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の分泌タンパク質高次構造形成過程に関与する因子の解析
Project/Area Number |
08760071
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
舘川 宏之 東京農工大学, 農学部, 助手 (60251576)
|
Keywords | プロテイン ジスルフィド イソメラーゼ / フォールディング / 分泌 / PDI / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
我々は、これまで酵母PDIに関する研究を行い、PDIが生育に必須であることを示した。また、ガラクトース依存性PDI変異株を作製し、PDIが分泌タンパク質の立体構造形成に重要な役割を果たしていることを示した。そして、作製した変異株の生育を多コピーで相補する遺伝子(マルチコピーサプレッサー遺伝子)のクローニングを行い、2つの新規遺伝子(MPD1,MPD2)を取得し、その構造を明らかにした。 本研究では、Mpd1pとMpd2pの機能および関係を調べた。まず、グルタチオンS-トランスフェラーゼとの融合タンパク質として、大腸菌内で発現させることにより、Mpd1pがPDI活性を持つタンパク質であることを示した。Mpd2pは、融合タンパク質が不溶性となったため、今後検討が必要である。また、Mpd1pおよびMpd2pの活性中心様配列にin vitro mutagenesis法により変異を導入した結果、この領域がPDIの欠損のマルチコピーサプレッサーとして働く為には必須であることが明らかになった。これらより、Mpd1pとMpd2pはPDIと同様な機能を持つタンパク質であり、これらがPDIのかわりをすることによりPDIの欠損を相補することが示唆された。また、遺伝学的関係を知るため、MPD1,MPD2,EUG1遺伝子の三重破壊体酵母を作製したが、生育可能で、顕著な表現形は観察されなかった。 今後は、PDI,Mpd1p,Mpd2p,Eug1pの基質特異性の違いや発現の違いを観察することにより、これらタンパク質の生体内における役割を明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(1 results)