1996 Fiscal Year Annual Research Report
均一化cDNAライブラリーを利用した花芽分化に関与する遺伝子の単離
Project/Area Number |
08760085
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
竹村 美保 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (20273857)
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Keywords | シロイヌナズナ / 均一化cDNAライブラリー / 花芽分化 / ディファレンシャルスクリーニング / 花芽特異的発現 / アンチセンスRNA / 形質転換体植物 |
Research Abstract |
これまでに、シロイヌナズナ均一化cDNAライブラリーのスクリーニングにより選抜された花芽特異的に低発現していると思われる385個のクローンについて、部分的に塩基配列を決定した。そして、塩基配列から予測されるアミノ酸配列について、データベースに対する相同性検索を行った。その結果、385個のうち32個はこれまでにシロイヌナズナで報告されている遺伝子と同じものであることがわかった。また、78個は植物あるいは動物などの既知遺伝子と有為な相同性を示し、ある程度機能予測できるものと思われた。残りの275個は既知遺伝子と相同性を示さない新規の遺伝子であることが明らかとなったが、このうち75個は、機能の予測はできないものの、塩基配列レベルでシロイヌナズナのEST(Expressed Sequence Tag)と相同性を示した。78個の既知遺伝子と相同性を示したクローンの中には、転写因子やシグナル伝達に関与するタンパク質リン酸化酵素と推測されるものや、細胞分裂や糖代謝に関与すると思われるものが存在した。これらは花芽分化に働いている可能性が期待され、まずノザン解析により発現の組織特異性を調べた。また、ノザン解析では発現が確認できないものがあったため、それらについてはRT-PCR法を用いて調べた。その結果、花芽特異的発現を示すものが数個見つかり、目的とする花芽分化初期特異的に低発現性のクローンを選抜することができたと考えている。現在、これらクローンの遺伝子構造を解析するために、全長cDNAの単離ならびに塩基配列の決定を行っている。これと並行して、それぞれのアンチセンスRNAを発現する形質転換体植物を作成し、表現型の変化を観察中である。さらには、機能の予測できない275個のクローンについても同様に形質転換体を作成しており、今後それらの表現型を観察することにより花芽分化に関与する遺伝子の単離とその機能解析を行っていく予定である。
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