1996 Fiscal Year Annual Research Report
酵母フェロモン情報伝達経路のG蛋白下流で働く遺伝子の解析
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08760089
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤田 倫治 山口大学, 工学部, 助教授 (20201882)
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Keywords | 酵母 / 情報伝達経路 / フェロモン / G蛋白 |
Research Abstract |
細胞の情報伝達経路の解明は、生物学・医学における主要な課題の1つである。酵母では、ペプチドフェロモン信号はG蛋白に伝えられ、下流のMAPキナーゼカスケードを活性化する。このG蛋白の下流で働き、MAPキナーゼの上流に位置する蛋白、すなわちG蛋白の信号をキナーゼカスケードの活性化に繋げるエフェクターの解明を目指している。本研究までに,酵母のG蛋白周辺で働く遺伝子群を取得している。これらの遺伝子は、変異の性質から負の制御因子と考えられる。本研究の目的は,これらの遺伝子が,情報伝達経路でどの様な機能を持っているのかを調べることである。 これらの遺伝子のうち,NEP1およびNEP2を調べている。変異株のクローニングによりそれぞれの遺伝子を取得し,配列を調べた結果,新規の遺伝子であることが分かった。 NEP2は,その配列内に蛋白をコードする配列が見つからず,RNAとして機能していることが予想される。遺伝子破壊の結果,変異株と同じ形質を示すことが分かった。今後は,本当にRNAとして機能しているかどうかを発現解析やcDNAのクローニングにより調べる予定である。 NEP1は,140アミノ酸からなる小さな蛋白をコードしており,その配列には,他の蛋白との相同性はなかった.変異株は,情報伝達経路のSte20下流でSte11上流に情報を入れることが分かった。この遺伝子を破壊すると致死性を示し,異常な形態で増殖停止した。今後この蛋白がどのような機能を持つのかを調べる。
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[Publications] Rinji Akada: "Genetic relationships between the G protein βγ complex,Ste5p,Ste20p and Cdc42p:Investigation of effector roles in the yeast pheromone response pathway" Genetics. 143. 103-117 (1996)