1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08760106
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岡島 俊英 近畿大学, 農学部, 講師 (10247968)
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Keywords | アデニル酸キナーゼ / UMP-CMPキナーゼ / 基質特異性 / 機能改変 / 部位特異的変異導入 / 多次元NMR |
Research Abstract |
本研究は、ニワトリ骨格筋アデニル酸キナーゼ及びブタ大脳UMP-CMPキナーゼという基質特異性の異なる相同酵素について、構造と機能の相関を比較することにより両酵素の基質特異性の差がどのような認識機構によるものかを分子レベルで解明することを目的としている。当該年度までに両酵素対象として、ある程度基質特異性が改変された変異型酵素やキメラ酵素が得られているので、変異導入による解析をさらに進めるとともに、より詳細な立体構造情報を得ようとした。 まず、UMP-CMPキナーゼにおいて一リン酸基質の塩基認識に重要であることが判明した3カ所の部位の変異を、逆にアデニル酸キナーゼに導入した。詳細な反応速度論的な解析の結果、変異を導入していくのにつれて、AMPに対する反応性は大きく減少し、これらの残基がアデニン環認識に果たす役割の重要性を裏付けた。しかしながら、野性型酵素と比較して、UMPに対する反応性は、三重変異型酵素においてもそれほど変化せず、AMPに対する反応性の約1/50であった。したがって、アデニル酸キナーゼでは、今回変異導入を試みた部位以外にも、塩基の識別に重要な部位が存在するものと考えられた。 詳細な構造情報を得るため、基質特異性がAMP特異的に大きく改変された三重変異型UMP-CMPキナーゼに関しては、^<15>Nと^<13>Cで均一に標識した試料を調製し、遷移状態に類似した阻害剤との複合体状態で、多次元NMRを測定した。その結果、構造解析が可能な分離の良いスペクトルを得ており、現在シグナルの帰属を進めている。また、構造解析を目的として、本年度も様々な条件下で両酵素の結晶化を試みたが、現在までのところ、X線結晶解析が可能な結晶は得られていない。高分解能の立体構造情報は必要不可欠であるので、来年度も引き続き、結晶化を試みていく予定である。
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