1996 Fiscal Year Annual Research Report
ホタテガイ類トロポニンの一次構造決定と一次構造・機能相関の研究
Project/Area Number |
08760194
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 啓之 北海道大学, 水産学部, 助手 (90241372)
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Keywords | トロポニン / 一次構造 / ホタテガイ / 軟体動物 / 無脊椎動物 |
Research Abstract |
アカザラガイ横紋閉殻筋トロポニンの一次構造を決定することができた。このトロポニンIはアミノ酸292個からなり、端はアセチル化によってブロックされていた。分子量は34,678と計算され、従来SDS電気泳動法で見積もられてきた52,000に比べ小さいことがわかったが、これはこのトロポニンIがGluに非常に富んだ領域を持ち、電気泳動において異常な移動度を示すためであると推測された。アカザラガイトロポニンIの一次構造を既に一次構造が報告されている他種のトロポニンIのそれと比較すると、C端側の領域(残基134-292)が脊椎動物トロポニンIに対し26-30%、また節足動物トロポニンIに対し39%の相同性を示すことがわかった。特にこのC端側領域の中でも脊椎動物トロポニンIにおいてアクチンやトロポニンCとの結合部位と考えられている部位については他種トロポニンIとの相同性が高かった。一方、N端部分は脊椎動物骨格筋トロポニンIに比べて約130残基、また節足動物トロポニンIに比べて約50から110残基も突出しており、この突出したN端領域(残基1-133)はGluとArgに富んだ特異な配列からなっていた。また、配列データベースの検索により、このN端領域の中でも残基76-115の領域がトロポニンTやカルデスモンのトロポミオシン結合部位と相同性を示すことが検出され、トロポミオシンとの相互作用の機能を担っている可能性が示唆された。そこで、アカザラガイトロポニンIをCNBr消化しN端断片(残基1-129)とC端断片(残基158-292)を調製し、これらのトロポミオシン・アクチン複合体ととの結合性を超遠心共沈法によって検討したが、C端断片がトロポミオシン・アクチン複合体と結合する一方で、N端断片は結合せず、N端領域にトロポミオシンとの相互作用機能が存在することを証明するには至らなかった。
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