1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08760253
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
玖村 朗人 北海道大学, 農学部, 助手 (00241365)
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Keywords | 乳腺 / 細胞培養 / 乳蛋白質 |
Research Abstract |
本研究課題であるブタ乳腺上皮細胞の分離・樹立を遂行するためには、1)乳腺組織からの上皮細胞の分離・培養条件の検討、2)in vitroにおける乳蛋白質合成能の確認、3)樹立株の構築のために適用する遺伝子導入法の検討ならびにその条件の最適化が不可欠である。ブタ乳腺上皮細胞の分離はこれまで報告例がなく、さらに遺伝子導入時の転換効率を考慮すれば、まずは他の細胞の混入が極力回避される上皮細胞の分離法の確立が望ましい。そこで、その条件を種々検討した結果、以下のようになった。 ブタ乳腺組織を細切した後、コラゲナーゼ、デイスパーゼ、ヒアルロニダーゼ、インスリン、DNaseを添加した199倍地を用いて37℃で5時間振とう処理した。一旦細胞を遠心分離によって回収し、DNase、プロナーゼを添加した199倍地を用いて37℃1時間処理した。回収した細胞をDNase、BSA、199培養液を加えて浮遊させ、パーコールを用いた密度勾配遠心分離法によって乳腺細胞の層を採取した。さらに、細胞をナイロンメッシュでろ過し、大きな細胞塊を取り除くと共に、その細胞浮遊液を静置しても沈まず分散した細胞も除去した。このようにして得た乳腺細胞の画分をインスリン、EGF、プロゲステロン、グルココルチコイドを単独あるいは併用で実験を行った結果、マウスやラットとは異なり、ブタ乳腺細胞の増殖にはグルココルチコイドが必要であることが明らかとなった。 細胞のin vitroにおける乳蛋白質の発現は未確認である。しかし、ブタミルクよりα-、β-カゼイン、β-ラクトグロプリンをカラムクロマトグラフィーによって精製し、マウスに免疫した結果、特に力価の高い抗体として抗β-カゼイン血清を得ることができたため、これを用いて分離した細胞の分化能に関する観察が可能であると考えられる。
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