1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける松果体メラトニン合成の制御機構に関する遺伝学的及び生理学的研究
Project/Area Number |
08760258
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 麻木 名古屋大学, 農学部, 助手 (80221985)
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Keywords | 松果体 / SNAT / HIOMT / サーカティアンリズム / マウス / ノルエピネフリン |
Research Abstract |
サーカディアンリズムの制御に深く係わっていると考えられているメラトニンの合成は、松果体に特異的で日周リズムを示すセロトニンN-アセチル転移酵素(SNAT)とヒドロキシィンドール-O-メチル転移酵素の活性を支配している劣性突然変移遺伝子によって引き起こされるが、最近我々はSNATの酵素活性を支配する遺伝子(Nat-2)の座位がマウスの第11染色体の末端にあることを明らかにした。Nat-2遺伝子のポジショナルクローニングの最初のステップとして、Nat-2遺伝子座周辺の詳細なマッピングを行う際、SNAT活性の測定からNat-2の遺伝子型を判定する必要がある。しかし近交系マウスにおいてSNATは夜間の非常に短い時間にしかその活性値を測定することができないなどの問題点があり、さらにマウスにおけるSNAT活性の制御機構の詳細は不明であった。哺乳類の生体時計は視交又上核にあり、ここに発する神経刺激は上頚部交感神経終末からノルエピネフリン(NE)を放出させ松果体細胞膜上のβ-受容体を刺激し、細胞内cAMPを増加させ、ひいてはSNAT酵素蛋白の新生を促するものと考えられている。そこで本研究では、SNAT活性の制御機構を解明するために1)NE,isoproterenol,desipramine等の薬物の各種時間帯における投与、2)α-アンタゴニストのphentolamine,β-アンタゴニストのpropranololの単独及び両方の投与を行ったところβ-blockerによるSNAT活性阻害作用は顕著に認められたが、カテコールアミンにSNAT活性を有意に上昇させる作用は見られなかった。また、暗期後半以外の時間帯では、各種薬物の投与によるSNAT活性の上昇は認められなかった。以上の結果からマウスではβ-受容体の密度の日周リズムがSNATの制御機構に関与していることが示唆された。
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