1996 Fiscal Year Annual Research Report
牛ハイエナ病発症に関わる脂溶性ビタミン代謝-とくに肝臓におけるビタミンAエステルの取込能力-
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08760292
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 岩手大学, 農学部, 教務職員 (30250632)
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Keywords | 子牛 / ビタミンA / ビタミンE / コリンエステラーゼ / LCAT |
Research Abstract |
子牛に大量のビタミンA(V.A)を経口投与し、投与後の肝臓でのエステル型V.A摂取量を検討するためにV.A投与後の血漿レチノール値および血漿レチニルパルミテート値を観察した。併せて肝機能の評価としてコリンエステラーゼ(CHE)、Lecithin-Cholesterol acyltransferase(LCAT)活性を観察し、肝のV.A取込み量との関係について検討した。 供試動物は生後1-2週齢の臨床的に健康なジャージー種雄牛を用いた。V.A300万IUを一日一回投与したものをA群、V.A300万IUとビタミンE(V.E)3000IUを経口投与したものをAE群とした。採血は投与前、投与3時間後、6時間後、12時間後、24時間後に行った。 各投与群の血漿レチノール値はA群では投与後12時間で最高値(平均719.2IU/dl)を示した。AE群では投与後6時間に最高値(平均707.6IU/dl)を示したが、各群ともに投与後24時間には投与前値かそれよりも低い値となった。 各投与群の血漿レチニルパルミテート値は各群ともに投与後6時間で最高値(A群平均135.3IU/dl、AE群平均138.0IU/dl)を示したが、投与後24時間には検出限界以下にまで低下した。AE群ではV.Eの作用によりレチノールの酸化を防ぐことにより血漿レチノール値の比較的早い時間で最高値が得られたものと考えられた。 各個体のCHE活性値は96-172U/Iであった。LCAT活性値はどの個体もかなり低い値を示した。エステル型V.A(レチニルパルミテート)の肝臓での取込み量を最高値から3時間後の減少率で評価し、その減少率は54-67%であった。減少率とCHEおよびLCAT活性値の間には相関はみられなかった。生後1-2週齢ではまだ肝機能は未熟であり、酵素活性値での評価は困難であると思われた。
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