1996 Fiscal Year Annual Research Report
腸管壁在神経細胞の発生過程におけるエンドセリンB受容体の情報伝達系の役割
Project/Area Number |
08770028
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 武 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60251055)
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Keywords | エンドセリンB受容体 / 先天性巨大結腸症 / 突然変異 / ヒルシュスプルング病 |
Research Abstract |
ジーンターゲッティングにより作製されたエンドセリンB受容体及びエンドセリン3遺伝子欠損マウス、および自然発症の巨大結腸症マウスの解析から腸管壁神経節細胞の発生過程においてエンドセリンB受容体を介するシグナルが必須であることが明かとなっている。またヒトにおいて遺伝性のヒルシュスプルング病患者のエンドセリンB受容体遺伝子座に点突然変異が見出され、またこの変異(W276C)が受容体の機能に障害を与え、病気の原因となっているということが明らかとなった。 最近ヒルシュスプルング病患者のエンドセリンB受容体遺伝子座に6種類(G57S,A183G,T244M,R319W,M374I,P383L)の新たな点突然変異が見出された。本研究ではこの点突然変異がヒルシュスプルング病の原因となり得るか否かを明らかにするため、これらの変異受容体のcDNAを各種培養細胞(COS-7,HEK293,Ltk-,CHO-K1)に発現させ、その機能を解析した。その結果これら6種類の変異受容体は野生型と同程度の親和性でリガンドを結合するものの、A183Gにおいては細胞膜上に発現される受容体数の減少、R319W及びM374Iにおいてはその細胞内情報伝達能の障害、P383Lにおいては細胞膜上に発現される受容体数の減少および情報伝達能の障害の両方が認められた。このことより、これら4種類の点突然変異は受容体の機能を障害し、ヒルシュスプルング病の原因になり得ることが示唆された。またG57S及びT244Mの2種類の変異受容体については調べた限り野生型受容体との差異は認められず、多型であると考えられた。
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Research Products
(1 results)