1996 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化発生におけるTリンパ球・マクロファージの大動脈内皮細胞への接着機構の解析
Project/Area Number |
08770114
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原岡 誠司 福岡大学, 医学部, 助手 (40251053)
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Keywords | 動脈硬化 / Tリンパ球 / マクロファージ / 接着分子 / ラット |
Research Abstract |
動脈硬化の初期病変として、Tリンパ球および血液由来の単球・マクロファージ(Mφ)の内皮細胞への接着、内皮下への侵入、集簇、更にMφの泡沫細胞化による脂肪斑の形成という一連の現象が重要視されいる。我々は高脂血症負荷ラットモデルを用いて大動脈病変を経時的に検討した結果、動脈硬化の初期病変において単球・MφのみならずTリンパ球が多数浸潤し、経時的にヒト動脈硬化病変、特に脂肪斑に類似した病変の形成と分布を認めた。そこで、高脂血症負荷雄Fisherラットの大動脈をen face immunostaining法を用いて観察し、Tリンパ球、Mφと白血球の内皮細胞接着に関わる接着分子ICAM-1/LFA-1の関連について検討した。負荷後4週および10週において、内膜に接着・浸潤したTリンパ球およびMφのうち、80〜90%の細胞がLFA-1陽性であった。LFA-1のリガンドであるICAM-1の内皮における発現は、病変好発部位であり、脂肪斑類似内膜病変が形成された腹部大動脈分岐部周囲で最も顕著に認められた。更に中和抗体(抗ICAM-1抗体)を2週間腹腔内投与したラットの腹部大動脈においては、対照ラット群に比し内膜浸潤細胞は約半数であった。これらの結果から、動脈硬化発生におけるTリンパ球や単球・Mφの血管内皮への接着機序に、ICAM-1/LFA-1経路に依存した接着機構が重要な役割を担っていると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Watanabe,T.et al.: "Inflammatory and immunological nature of atherosclerosis." Internat.J.Cardiol.54. S25-S34 (1996)
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[Publications] Haraoka,S.et al.: "Role of T lymphocytes in the pathogenesis of atherosclerosis. Animal studies using athymic nude rats." Ann.N.Y.Acad.Sci.(in press).