1996 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺腫瘍における17番染色体数的異常と予後因子との関係について
Project/Area Number |
08770122
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
今村 好章 福井医科大学, 医学部, 助手 (40223341)
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Keywords | 乳癌 / in situ hybridization / 17番染色体 / p53 / c-erb-B2 |
Research Abstract |
ヒト乳癌における17番染色体の数的異常とp53あるいはc-erb-B2蛋白過剰発現との関係を明らかにするため、15例の浸潤性乳管癌(充実腺管癌5例、乳頭腺管癌5例、硬癌5例)について、17番染色体特異プローブを用いたin situ hybridizationとp53あるいはc-erb-B2蛋白免疫染色との二重染色を試みた。どちらの染色を先に行っても陽性像あるいはシグナル数に偏りが目立ち、両者同時の客観的評価および計測は極めて困難であった。そのため連続切片を用いて検討した。 各組織型におけるp53およびc-erb-B2陽性率は充実腺管癌では40%(2/5)および40%(2/5)、乳頭腺管癌では20%(1/5)および40%(2/5)、硬癌では40%(2/5)および60%(3/5)であり、硬癌でやや高い傾向を示した。p53陽性例(5例)および陰性例(10例)における17番染色体数的異常細胞の割合はそれぞれ8.5%および6.0%であった。また、c-erb-B2陽性例(7例)および陰性例(8例)における17番染色体数的異常細胞の割合はそれぞれ11.0%および7.0%であった。次に、p53陽性例で、p53陽性細胞とp53陰性細胞における17番染色体数的異常細胞の割合を計測したところ、それぞれ12.0%および7.0%であった。また、c-erb-B2陽性例でも同様に計測すると、それぞれ14.5%および8.5%であった。以上の結果より、p53あるいはc-erb-B2蛋白陽性乳癌のほうが、陰性乳癌に比較して17番染色体の数的異常が増強している傾向が認められ、両者の相関が示唆された。
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