1996 Fiscal Year Annual Research Report
性器のヒトパピローマウィルス感染と子宮頚部悪性化への関与
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08770139
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
古田 玲子 財団法人癌研究會, 癌研究所・病理部, 研究員 (10260077)
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Keywords | ヒトパピローマウィルス / In situ hybridization 法 / 子宮頚癌 / 発癌 |
Research Abstract |
Human papillomavirus(HPV)は、70種以上に型分類され、子宮頚部では、16,18,31,33,型など特定の型が癌の発生に関わっている。サザン法ではコンジロームや異形成ではHPVはフリーの状態、がんでは宿主DNAに組込まれている。本研究は、改良したin situ hybridization(ISH)法を用い病理組織学的に、HPVの宿主細胞の中での存在様式をフリー型か組込み型に区別した。症例毎に定まった数を呈してドット状に染まるHPV陽性所見は組込み型で、細胞のモノクローナルな増生を意味し、腫瘍性の病変であることを示唆する。この手法を用い、異形成から上皮内癌(CIS),初期浸潤癌(MIC),浸潤癌(SSC)に至る癌化のプログレッションのどの段階でHPVの組込みがおこるのか検討した。プローブはビオチン標識6/11,16/18,31/33/35型の混合プローブとFITC標識6,11,16,18,31,33型の単独プローブ、Wide spectrum(W)プローブを用いた。陽性所見を得た各病変の結果はSSCで10/12例(83%)が癌病巣全て組込み型,2例がフリー型(10例が16型,2例が33型)。MICでは病巣全て組込み型が4例,両型が4例(計50%),フリー型が8例であり、浸潤部が観察可能な8例のうち4例が組込み型,3例はフリー型,1例は両型で上皮内病変部も同様な所見であった(16例中14例が16型,2例がW)。CISでは2/6例(33%)に病変の一部に組込み型でその周囲はフリー型,4/6例がフリー型(6例共16型)。異形成は検討中である。組込み型は上皮内癌の極く一部に出現し、浸潤が進むとその範囲は拡大する。組込み型を示す細胞ではコイロサイトーシスは示さない。MICやSSCでも、その一部にはフリー型のHPVが存在することを明らかにした。
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[Publications] 古田玲子: "子宮頚部病変におけるヒトパピローマウィルスのin situ hybridization法による検出" Biomedical Perspectives. 4(2). 128-131 (1995)
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[Publications] 古田玲子: "子宮頚部癌のISH法におけるHPV陽性所見" 日本病理学会会誌. 84(1). 235-235 (1995)
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[Publications] 古田玲子: "子宮頚部の扁平上皮病変のpicl(sdil/cipl/wafl/p21).P53.ki67の免疫組織学的検討" 日本癌学会総会記事. 510-510 (1995)
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[Publications] 古田玲子: "子宮頚部上皮内腺癌におけるin situ hybridization(ISH)法によるHPVの検出" 日本病理学会会誌. 85(1). 215-215 (1996)
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[Publications] 平井康夫: "子宮頸部未分化小細胞癌由来を養細胞株の樹立とその性状" 日本癌学会総会記事. 352-352 (1996)
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[Publications] 古田玲子: "子宮頚部の微小浸潤扁平上皮癌におけるin situ hybridization(ISH)法によるHPVの検出" 日本病理学会会誌. (発表予定). (1996)