1996 Fiscal Year Annual Research Report
TNFαによるヒト骨肉腫細胞のα5β1インテグリン発現動態と浸潤転移における役割
Project/Area Number |
08770151
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川島 篤弘 金沢大学, 医学部, 助手 (20242563)
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Keywords | インテグリン / 骨肉腫 / フィブロネクチン / 培養細胞 / TNFα |
Research Abstract |
低転移性であるヒト骨肉腫培養細胞OSTにおける各種インテグリンの発現をRT-PCR法を用いてさらに詳細に調べるために,ヒトで恒常的に発現しているといわれているβ2-microglobulinの発現量と比較することによってその増減を検討した.PCRによる増幅は,21サイクルから最初のスクリーニングで行った35サイクルの範囲で,β2-microglobulinの発現量がTNFα刺激前後で変化がないことを確認した.未処理OSTはα2,α3,α5,α6,αv,β1,β5,β6を発現しているが,TNFα刺激を受けるとα5ばかりでなくα3も激減した.α2,β1の発現量も有意に減少した.一方,α6は発現量が増加した.αv,β5,β6の発現量には差みられなかった.TNFα刺激によって新たにβ8の発現が確認された.このことから予想されることは,フィブロネクチンレセプターとしてのα5β1の減少,コラーゲンレセプターとしてのα2β1,α3β1の減少である.ビトロネクチンレセプターとしてのαvβ5の発現量に変化はみられなかった.しかし,細胞接着試験では,フィブロネクチンおよびコラーゲンに対する接着性にそれぞれ差はなく,ビトロネクチンに対する接着性はTNFα刺激で有意に低下した.このことから,蛋白レベルでのインテグリンの減少がTNFα刺激24時間ではまだ十分ではなく,分解・消失せずに残っており機能しているためではないかと考えている.実際,免疫沈降法では,ケミコン社のα5に対する抗体を用いると,TNFα刺激24時間ではα5β1の減少がみられなかった.さらに遊走試験でも,TNFα刺激を24時間したOSTは,フィブロネクチン,ビトロネクチンをコートした場合の両者ともにcontrolに対して遊走能が亢進した.
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