1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08770178
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
礒邉 顕生 島根医科大学, 医学部, 助手 (30232375)
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Keywords | 28SrRNA / phylogeny / cestoda / Dighyllobothriidae / moletular biology |
Research Abstract |
研究目的は、1)ヒト条虫症の原因寄生虫に対する、分子生物学的手法並びに形態学的手法を用いた総合的な同定方法の確立、2)日本および欧米諸国を中心に感染者の多い裂頭条虫症の原因寄生虫の種系統の解明の2点である。研究方法は、以下の通りである。 1.DNA抽出:D.nihonkaiense(日本:島根、北海道),及びS.erinacei(日本)の虫体試料から、プロテイナーゼK/飽和フェノール/クロロフォルムを用いてDNAを抽出した。 2.分子遺伝学的解析:特定の遺伝子座について、塩基配列を明らかにする。 1)28SリボソームRNA遺伝子のD1-D3部位の塩基配列の解析 28SリボソームRNA遺伝子のうちの可変領域であるD1-D3部位につき、保存的領域の一部をプライマーに用いてPCRを行った後、ダイレクトシークエンシングを行い、塩基配列を決定した。 3.分子系統学的解析:本研究で明らかにした塩基配列を用いて、系統関係の解析を行った。 4.分子系統学的解析および形態学的解析の総合化:形態学的特徴を、肉眼観察、組織切片標本観察、走査電子顕微鏡観察および透過電子顕微鏡観察により調べ、分子系統学的解析結果と比較した。 研究結果として、1)28SリボソームRNA遺伝子のD1部位において、同一産地内サクラマス由来の日本海裂頭条虫の虫体が同じ塩基配列をとること、2)島根、北海道の二つの産地のサクラマス由来虫体において、塩基配列が少し異なることが明らかであった。このD1部位の違いに、地理的隔離が関与していると考えられる。また、日本海裂頭条虫とマンソン裂頭条虫とのD1部位における種間変異は、同一種内の変異数よりも多かった。
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Research Products
(1 results)