1996 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオのウレアーゼ産生性とtrh遺伝子保有性に関する分子遺伝学的研究
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08770189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90221746)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / ウレアーゼ / 耐熱性溶血毒 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では腸炎ビブリオ菌株においてウレアーゼ産生性とtrh遺伝子保有性が完全に一致するという事実をふまえ、この現象を分子遺伝学的に説明するために研究を行った。得られた結果を列挙すると、 1.それまで未同定であった腸炎ビブリオのウレアーゼ遺伝子を検出するためのDNAプローブを、これまで報告されている他菌種の有するウレアーゼ遺伝子の塩基配列を参考としPCRを利用して調整した。 2.得られたウレアーゼプローブを用いて臨床分離腸炎ビブリオ菌株におけるウレアーゼ遺伝子の保有とウレアーゼ産生性との関係を解析した結果、両者は完全に一致することが明らかになった。 3.2.の結果と以前我々が得ている知見を併せて考察した結果、腸炎ビブリオ菌株において、ure遺伝子とtrh遺伝子の存在は完全に一致していることが明らかになった。 4.パルスフィールド電気泳動等により、腸炎ビブリオの染色体DNA上でure遺伝子とtrh遺伝子は近傍(10kb以内)に存在していることが明らかになった。 以上の結果は、腸炎ビブリオ菌株においてure遺伝子とtrh遺伝子が遺伝学的に連鎖していることを示しており、これが腸炎ビブリオ菌株においてウレアーゼの産生性とtrh遺伝子の保有性が常に一致する理由であることが明らかになった。 今回得られた成績は、これまでPCRやELISAによっていたTRHの検出を、尿素培地上での呈色反応という極めて簡便な方法で行えるということの理論的根拠を提示するものであり、臨床検査場意義深い。またtrhはもともと腸炎ビブリオ以外の他菌種の有していたものがlateral transferにより腸炎ビブリオのゲノムに移ってきたものと考えられているが、本研究で明らかになったure遺伝子とtrh遺伝子の遺伝学的連鎖という現象は過去のlateral tranferのメカニズムについて示唆を与えるものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tang,G.et al.: "Isolation and characterization of a mutant cell line resistant to Vibrio parahaemolyticus thermostable direct hemolysin(TDH) : its potential in identification of putative recepter for TDH." Biochin Biophys.Acta. (in press). (1997)
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[Publications] Iida,T.et al.: "Evidence for genetic linkage between the ure and trh gerao in Vibrio parahaemolytia" J.Med.Microbiol. (in press). (1997)
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[Publications] Sang.W.K.et al.: "Prevaleme of diarrhoeaganic Escherichia coli in Kenyan Children" J.Diavrhoeal Dis.Res. 14(in press). (1996)
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[Publications] Yoh.M.et al.: "Phosphorylation of a 25とDのprotein is induced by thermostabledirect hamalysino FVibrioparalcomely" Int.J.Biochem.Cell,Biol.28. 1365-1359 (1996)