1996 Fiscal Year Annual Research Report
日常の身体活動量の増加による冠危険因子改善に関する介入研究
Project/Area Number |
08770266
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田邊 直仁 新潟大学, 医学部, 助手 (40270938)
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Keywords | 健康増進 / 介入研究 / 歩行 / 冠危険因子 / 糖代謝 / コレステロール |
Research Abstract |
新潟県の一地域において、歩行による健康管理を希望した25名を対象として、歩行教室を行った。25名を無作為に介入群12名、対照群13名に分け、介入群には6回の教室からなる指導を3ヶ月間行った。各教室では歩数計を用いて評価した日常の歩数に基づき、積極的に歩行機会を増やすよう保健婦が個別に指導した。一方対照群には、1回のみの教室で歩行と健康に関する一般的な講義を行い、以後は経過観察のみを行った。脱落例を除いた介入群8名、対照群11名の間で、3ヶ月間の教室前後の体重、血圧、血清脂質値、血清フルクトサミン値、75g0GTTに対する血糖値、インシュリン値(IRI)の反応など、冠危険因子の変化を比較した。なお血清、血漿は-80℃に冷凍保存し、後日一括測定した。 介入群、対照群共に、血清フルクトサミン値(介入群241【.+-。】13→236【.+-。】13μmol/1,p<0.1、対照群251【.+-。】19→241【.+-。】16μmol/1,p<0.05)、75g0GTTによる血糖2時間値(介入群131【.+-。】23→113【.+-。】21mg/dl,p<0.05,対照群150【.+-。】41→133【.+-。】36mg/dl,p<0.05)が教室後に低下していた。血清総コレステロール値は対照群で有意に低下しており(232【.+-。】36→218【.+-。】35mg/dl,p<0.05)、介入群でも有意でなかった低下傾向であった(250【.+-。】10→244【.+-。】20mg/dl)。 今回の介入内容が、「日常の積極的な歩行」という単純なものであったこと、および対照群も歩行教室に参加したいとの意欲を持った者であったことなどから、対照群も初回の教室後に積極的な歩行を開始した可能性が高い。よって、介入群に対する積極的な指導の効果は証明できなかったものの、「日常の積極的な歩行」によって糖代謝の改善、血清総コレステロールの低下をもたらしうる可能性が示された。
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