1996 Fiscal Year Annual Research Report
健康に影響を及ぼす生活習慣の規定要因に関するコホート研究
Project/Area Number |
08770282
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
尾島 俊之 自治医科大学, 医学部, 助手 (50275674)
|
Keywords | コホート研究 / 生活習慣 / Coxの比例ハザードモデル / 運動 / 運動頻度 / 運動種目 / 虚血性心疾患 / 脳血管疾患 |
Research Abstract |
栃木県の農村地域であるO市の住民を対象としてコホート研究を行った。ベースライン調査は、30歳以上の全住民に対して留め置き調査を行った。エンドポイントは、8年間に渡って、死亡及び転出を追跡し、死因は国際疾病分類によりコーディングを行った。相対危険の計算にはCoxの比例ハザードモデルを適用した。ベースライン調査時において既に疾病に罹患している者の影響を除く目的で、寝たきり・入院中・がん既往者・心筋梗塞既往者を除外し、性・年齢に加えて喫煙習慣を調整し、さらに追跡開始後3年目からの観察として分析を行った。分析の結果を以下に示す(注.*:p<0.05,ns:not significant)。定期的運動習慣を有する者のハザード比は、全死亡0.93ns、虚血性心疾患1.03ns、脳血管疾患0.83nsであった。運動していない者と比較した運動頻度によるハザード比は全死亡の場合、毎日1.08ns、2日に1回0.85ns、週2回0.90ns、週1回以下0.70nsであった。運動種目毎の全死亡に対するハザード比は、ゲートボール0.78*、ジョギング0.99ns、体操0.78nsであった。虚血性心疾患死亡のハザード比は、ゲートボール0.77ns、ジョギング1.89ns、体操0.75nsであった。また、脳血管疾患死亡のハザード比は、ゲートボール0.91ns、ジョギング0.35ns、体操0.25nsであった。この研究結果から、定期的運動習慣のある者は、死亡を低減させる可能性が示唆された。しかし、運動頻度は、必ずしも毎日行うよりも、やや少ない頻度の方が好ましい可能性が示唆された。運動種目としては、ゲートボールや体操は死亡を低減させる一方、ジョギングは虚血性心疾患死亡をむしろ増加させる可能性が示唆された。今回の研究によって、一定の傾向を明らかにすることはできたものの、有意差のある項目は限られていたため、今後さらに長期にわたって追跡を行う必要があると考えられた。
|